研究課題/領域番号 |
20K13492
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 獨協大学 |
研究代表者 |
吉田 翔平 獨協大学, 経済学部, 専任講師 (50838290)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | スイッチングコスト / 動学的競争 / 垂直的取引 / 垂直的製品差別化 / 複数財販売企業 / 寡占競争 / 産業組織論 / 寡占 / 複数財企業 |
研究開始時の研究の概要 |
現実経済では多くの企業は複数財を販売している。 例えば、マイクロソフトとアップルはパソコン市場で競争しているが、OSやソフトウェアなどの違いから、消費者は購入企業を変更する際、スイッチングコストを感じるだろう。同時に両企業は複数のパソコンを販売している。このような状況下では、消費者の企業間のスイッチだけでなく、単一製品企業の競争にはない、企業内のスイッチの両方が発生することになる。よって複数財企業の価格決定のインセンティブは単一製品企業と異なるものになる。複数財企業を分析することで新たに発生する効果が動学的な企業競争の結果にどのような影響を与えるのかを明らかにすることが本研究の目的である。
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研究実績の概要 |
本年度は、1. 寡占市場におけるスイッチングコストを伴う動学的寡占競争、2.垂直的取引関係下における垂直差別化企業間の競争についての比較静学分析、さらに、3. 垂直的取引関係下における複数財企業の行動に関する研究を行なった。 1.に関してはスイッチングコストの発生する市場環境で同質的な消費者を奪い合う無限期間の競争を分析している。先行研究とは異なり企業数を2企業以上に拡張して分析を行なっている。これによりスイッチングコストの価格へ効果について、市場の競争状態がどのように影響を与えるかという新たな観点の分析をすることが可能になった。現在、これらの結果を論文として取りまとめているところである。 2.に関しては、垂直的取引関係のもとで、企業と消費者双方に異質性のある環境での企業競争を分析した。川下市場に異なる技術を持つ企業が3社存在し、各財は品質の点で差別化されている。各川下企業は、中間財を独占川上企業から購入するが、必要とされる中間財の単位数が各々で異なるとする。その設定のもとで、高品質企業の中間財必要単位数が少ないとき、低品質企業に財の質が向上するとその企業のみならず、競合企業である高品質企業の生産量や利潤が増加するという結果が得られた。本論文については学術雑誌に掲載されている。 3.に関しては、垂直的取引関係のもとで、複数の垂直的差別化財を販売している企業の行動を分析する。企業の販売している財の品質や生産費用の比較静学と行い、通常の比較静学の結果がどの程度まで一般化できるかなどについて計算をし、分析を行った。通常の直感とは異なり、低品質の財の費用が減少すると、消費者余剰や企業の利潤を減少させるという結果が得られている。 その他、消費者の買い溜め、買い占め行動の理論的、実験的分析を行なった、「買い溜め行動の実験的解明」が学術雑誌に掲載されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
スイッチングコストが発生する動学的寡占市場の競争の分析について、分析可能な枠組みが見つかり、企業数を拡張する形での分析ができたという意味で一定の進捗があったと言える。またその他の研究についても2本の論文が公刊できたという進捗があった。
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今後の研究の推進方策 |
スイッチングコストが発生する動学的寡占市場の競争の分析について、現在の分析モデルを用いて、さまざまな観点から分析を行い、既存の研究で得られていなかった結果を中心にまとめ、論文として国際査読誌に投稿する。すでに一定の結果が得られている研究については先行研究との関連を精査した上で論文にまとめ、国際査読誌への投稿を行う。
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