研究課題/領域番号 |
20K13497
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
若野 綾子 東海大学, 政治経済学部, 准教授 (80837112)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 初等教育無償化 / 教育投資 / コストシェアリング / 新型コロナ感染症 / 自殺 / 政策効果 / 初等教育の無償化 / ミクロ計量経済学 / 開発経済学 / 出生数 / 政策効果の異質性 |
研究開始時の研究の概要 |
初年度の研究では、初等教育無償化政策の異質性を中心に取り上げる。具体的にはDemographic and Health Survey(以下、DHS)によって調査が行われた国を中心に、定量的に各国の政策効果を推定する。無償化政策が平均的に教育年数に与えた影響や、国内における異質性を議論する。次に、各国間での推定値の異質性を検証する。
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研究実績の概要 |
2023年度は次の研究実績を出すことができた。1つ目に家計の教育投資行動に焦点をあてた実証研究である。ケニア共和国において、母親が高学歴と低学歴の2パターンで分けた際、子どもへの教育投資には統計的な差が見られた。ただし、子どもの無償化制度に直面した場合には学歴による差が短期間みられない状況が続いた。これは高学歴な母親と低学歴な母親の間での所得による差が無償化によって減じた可能性を示唆した。しかし、無償化制度が開始後、長期でみると母親の学歴によって子どもへの教育投資の差は再び確認された。本論文は、東海大学政治経済学紀要に2023年度に掲載済みである。
2つ目に、2024年度4月発刊されたEstrela(統計と情報の専門誌「エストレーラ」)の第361号に掲載された論文「新型コロナ感染症拡大下での自殺」がある。本論文は2015年から2022年の7年間の都道府県パネルデータを使用し、新型コロナ感染症拡大下において日本の女性の自殺が増加した傾向を確認した。本論文のデータ解析に使用したのは、厚生労働省の自殺統計と毎月勤労統計調査である。コロナ禍下において毎月勤労統計調査を確認すると、総労働時間数は大幅に減少している都道府県がほとんどである一方で、減少する時期に違いがあること、また2019年水準に戻る時期についても違いが生じている。この違いを確認し、毎月勤労統計調査から得られた総労働時間数の減少が女性の自殺件数にどのように影響を与えたかを調べた。本論文はすでに掲載済みである。
3つ目に、日本における小中高生の自殺パターンとインターネット検索ワードの関連性を確認した論文がある。本論文は、すでにJMIRのプレプリントとして公開中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究が開始した2020年から2年間は、在外研究や出張を行うことができず予定とおりの研究成果を上げることが困難であった。しかし、2023年以降には別途着手を開始したコロナ禍における日本の自殺に関する研究を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
本年は、すでに執筆した研究論文3件を投稿する予定である。1件目は、すでにWorking Paperとして仕上げている論文であり、SSRNに掲載している。本論文を改訂して「Introduction of cost-sharing policy and its long-term impact on quantity and quality tradeoff: Evidence from Kenya」という標題にて投稿予定である。2件目は、2022年に完了している論文で、SSRNに掲載済みのWorking paperであり、Mother’s years of schooling and their investment in the early education of childrenという論文、3件目はThe Effect of the Locally Hired Teacher Ratio on School Outcomes: the Dose-Response Function Estimation Evidence from Kenyaという論文である。これらの論文を投稿し、さらに2023年から開始している、コロナ禍における日本の自殺に関する研究論文の執筆を完成させる予定である。
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