研究課題/領域番号 |
20K13504
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
矢根 遥佳 立命館大学, 国際関係学部, 准教授 (40794574)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 国際貿易 / グローバル・バリューチェーン(GVCs) / 労働市場 / 新型コロナウイルス感染症(COVID-19) / 全要素生産性(TFP) / 技術変化 / 確率的生産フロンティア分析(SFA) / 技術非効率性 / 国際貿易と労働市場 / グローバル・バリューチェーン / 計算可能な一般均衡モデル / 確率的生産フロンティア分析 / 計量経済学 |
研究開始時の研究の概要 |
国際貿易の自由化が進み,増加していくことは,労働市場にどういった影響を与えるのか?また,関税率を引き上げるなどの保護主義的政策は,労働者にどういった影響をおよぼすのか?こういった疑問を解いていくことが本研究の目的である。ひとつは,因果関係の究明である。これは計量経済学の手法を用いて分析を行う。もうひとつは,世界の経済モデルを作り,関税の賦課や撤廃などのショックを与えた際にその世界がどう変化するかを分析する,シミュレーションを行う。本研究ではこれらの試算結果から,貿易政策と並行され施行されると有効な政策を追究する。
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研究実績の概要 |
近年,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な感染拡大をきっかけに国際貿易の形態がさらに変化しつつある。COVID-19の大流行は,グローバル・バリューチェーン(GVCs)における国際分業・特化から得られる便益をいかに正確に定量化し,それに伴う,あらゆる危機により引き起こされるショックが伝播するというリスクと比較し,その関係を明らかにすることの重要性を我々に喚起した。当該年度の成果は二つに分けることができる。一つ目は,世界40ヵ国・35産業のGVCsの参加度合いを計測し,それと賃金や労働時間との関係の分析を行った。結果,その大半が製造業で盛んである一方で,サービス業でも上昇していることが明らかになった。また,労働スキル間で賃金と労働時間のばらつきがあることが示された。GVCsへの参加の度合いにかかわらず,低スキル労働者の賃金は負の影響を,中スキル労働者の賃金もGVCsの影響を強く受けていることが分かった。教育,金融,および郵便・電気通信サービスの業界で低スキル労働者の賃金が最も低下していることが示され,オフショアリングによる低スキル労働の代替効果が存在する可能性を示唆している。中スキル労働の賃金も教育,金融,および機械設備のレンタルサービスの業界において同様の傾向を示している。二つ目の研究成果は,COVID-19発生時の日本における4 つの医療用品の輸入パターンの分析を行った。結果,需要の急増に伴う様々な供給不足に対応するために,国際貿易が重要な役割を果たしたことが明らかになった。さらに,新しい供給者の参入も見られ,コロナ禍のもとで日本が輸入先を多様化させていることも示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年9月まで育児休業をとっており,本研究課題の進捗は滞った。さらに,2020年度から引き続き,新型コロナウィルスの感染拡大を受け,データ・資料収集は中止,また,参加を予定していた国際学会も次々と延期となり,計画をしていた研究交流がかなわなかったため,当初の計画よりやや遅れるものとなった。
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今後の研究の推進方策 |
国際貿易の発展によりこれまで世界経済は大きく変化してきた。近年,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な感染拡大をきっかけに国際貿易の形態がさらに変化しつつある。自由貿易主義から保護主義的政策への転換が見られたり,財やサービスの生産過程の世界的な拠点分散化が進んだり後退したり,貿易のデジタル化が発展するなど,国際貿易が変化し続けている。こういった変化によって,すべての人々の生活に引き起こされる影響をより的確に計測することは,必要性を増している。先日,世界保健機関(WHO)がCOVID-19に関する緊急事態宣言を終了すると発表した。今後,当初計画していたが中断せざるを得なかったデータや資料収集を行い,学会や研究会等で効果的な研究交流も進めていきたい。まだどうしても不確実な要素が多く,現段階では先の見通しが立たない部分もある中,国際貿易と労働市場の関係性に関する推計を発展させて研究を継続していきたい。
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