研究課題/領域番号 |
20K13511
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07050:公共経済および労働経済関連
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研究機関 | 神戸大学 (2021-2022) 大阪大学 (2020) |
研究代表者 |
明坂 弥香 神戸大学, 経済経営研究所, 助教 (40844593)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 高齢者 / 就業 / 介護 / 年金 / 年金給付サイクル / 介護保険制度 / 高齢者雇用安定法 / 夫婦の労働供給 / 高年齢者雇用安定法 / 年金サイクル / リスク選好 |
研究開始時の研究の概要 |
この研究課題は、研究A:介護サービス拡充が介護者に与える効果のシミュレーション分析、研究B:夫の就労延長が妻の就労期間に与える影響の分析の二つの研究で構成される。 研究Aでは、介護サービスの利用が介護者の就業に与える効果だけでなく、健康状態や消費行動に与える影響を推定する。また、利用者間で効果に異質性があることを想定し、現在サービスを受けていない人々がサービスを受けた時の効果を調べる。 研究Bでは、法定退職年齢引き上げの影響を用いて、夫婦の就業決定パターンを明らかにする。定年延長という家計に負の所得ショックを与えない就業の変化が生じた時、配偶者がそれを受け、どう就業行動を変えるのか調べる。
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研究実績の概要 |
本研究プロジェクトでは、高齢者を対象とした政策効果の分析を行っている。 2022年度は,(1)高齢夫婦の労働供給の補完性に関する分析、(2)年金の支払いサイクルによるリスク選好の変化についての研究を行った。 (1)では、高年齢者雇用安定法の導入を受けて、夫婦いずれか片方の退職年齢が上昇した時、直接に政策変更の影響を受けない配偶者も労働供給行動を変えるのか検証した。本年度はDifference in Differenceによる分析を、Callaway and Sant’Anna (2021)が提案する推定法へと置換を行った。これにより、政策変更のアナウンス、実際の制度執行、およびその後の期間について、それぞれ影響の違いを明らかにできるようになった。分析の結果、制度変更の無かった配偶者への波及効果は観測されなかった。一方、夫婦ともに制度変更の影響を受ける場合、特に大きな効果が得られることが明らかになった。 (2)では、アメリカのHRSと日本のJSTARのデータを用いて、年金の受給サイクルによって高齢者のリスク選好が変動していることを明らかにした。伝統的な経済学では、人の選好は一生を通して不変であると考えられてきた。しかし、年金の支払いという何度も経験する、予測可能な小さなショックによっても選好が揺れ動くことを本研究は示している。結果をまとめた”Temporal Instability of Risk Preference among the Poor: Evidence from Payday Cycle”という題の論文が、2023年2月にAmerican Economic Journal: Applied Economicsに採択された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
データの利用方法をオンサイト施設での利用から、CD-ROMによる個票データの提供に切り替え、申請手続きに時間がかかった分、政府統計を利用する研究の進捗が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究を構成する、(1)高齢夫婦の労働供給の補完性に関する分析、(2)年金の支払いサイクルによるリスク選好の変化、(3)介護保険サービスの利用が介護者の労働供給に与える影響のうち、(2)は完全に完了したため2023年度は(1)と(3)を進める。
(1)は公開済みのDiscussion Paperを新しく導入した推定方法の結果を反映した内容に書き替え、国際誌への投稿を行う。 (3)はデータの申請手続きを完了させ、分析を進める。
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