研究課題/領域番号 |
20K13513
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07050:公共経済および労働経済関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
菅 史彦 九州大学, 経済学研究院, 准教授 (20799556)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | Income inequality / Income Inequality / Weighting Adjustment / Structural Estimation / Inequality / 格差 / 構造推定 / 反実仮想シミュレーション / ライフサイクルモデル |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、バブル崩壊や金利の低下、消費増税といった経済現象が、家計の消費や生涯効用の「格差」に与えた影響を「構造推定」の手法を用いて明らかにすることである。構造推定とは、複雑で非線形な経済モデルを、線形化することなく推定する手法一般を指す。構造推定の手法を用いることで、経済現象に直面した際の家計の行動を再現する「ミニチュア」をコンピュータ上に構築し、経済現象が格差に与えた影響を明らかにする。
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研究成果の概要 |
本プロジェクトは、日本における格差について、構造推定の手法を用いて分析することを目指すものである。そのために、まず総務省『全国消費実態調査』と厚生労働省『国民生活基礎調査』のデータを用いて、1990~2010年の20年間における所得格差の推移を明らかにする作業を行った。その結果、国勢調査データを使って標本分布の偏りを補正しても、二つのデータの間で結果に齟齬があり、構造推定を行うための前提となる、頑健な推定結果は得られなかった。これらの分析結果は、内閣府経済社会総合研究所が発行するディスカッションペーパーとして公表しており、内容をまとめたものを一つの論文にして査読付き国際学術誌に投稿予定である。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究で用いた二つの政府統計データは、日本における格差研究で用いられるものとしては最も代表的なデータとしてであるが、それぞれのデータを用いて計算した格差指標の水準やトレンドが異なっていることが先行研究により指摘されている。これは、抽出された標本の分布が異なることによる部分が大きいと考えられるが、本プロジェクトでは国勢調査個票データを用いて作成したウェイトを用いてこの偏りを補正した。しかし、データ間の格差指標の違いは、期待されたほど補正されなかった。このことは、両調査の標本の偏りをもたらすものが別にあることを示しており、これらのデータを用いて行われる今後の研究に資する重要な発見であると言える。
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