研究課題/領域番号 |
20K13520
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07050:公共経済および労働経済関連
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研究機関 | 富山大学 (2022) 関西学院大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
高原 豪 富山大学, 学術研究部社会科学系, 助教 (70844421)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 医療政策 / 情報開示 / 情報の非対称性 / モラルハザード / 医療制度 / シグナリング / 治療成績 / 医療機関の戦略的行動 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では, 医療機関の治療成績を公表することが, 医療サービス市場の競争環境や医療機関の戦略的行動にどのような影響を与えるかという点について, ミクロ経済理論を応用し明らかにします. 医療機関の戦略的な行動とは, 例えば患者の診療拒否や医療機関による投資活動等を指します. また医療サービス市場における他の規制(例えば医薬品の広告規制)との関係性についても着目し, 包括的に医療制度について分析することも目標としています.
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研究実績の概要 |
2022年度は一連の研究プロジェクトを構成する全ての研究について取り組んだ (3研究). 第1研究は, 規制当局による医療機関の治療成績の公表が診療報酬に与える影響を分析したものである (理論モデルの大まかな設定は2020年度報告書を参照のこと). 今年度は, 昨年度行った学会・研究会発表を基に, 理論モデルの改訂を行った. 具体的には, 治療成績の公表制度が, 事前の意思の努力水準に与える影響について明示的に分析した. 分析の結果, 詳細な治療成績の公表は, high-abilityな医師となるための努力インセンティブを損なうことを明らかにした. 直感的には詳細な治療成績を公表によって, high-abilityな医師の期待利得 (金銭的な利得 + 公表されるReport Cardから得られる評判上の便益) が小さくなるため, low-abilityに留まることが医師にとってより利益となるためである. 昨年度までに得られた結果と併せて, 詳細な治療成績の公表は診療報酬の観点からも, 医療サービスの質の観点からも好ましくないものであることが明らかにした. また文献調査も併せて行い, 先行研究に対する本研究の貢献がより明確になるように工夫した. 更に, 学術誌への投稿のための原稿準備 (執筆と校正) を行った. 第2研究は, 治療成績の公表が医療機関の行動 (診療拒否と投資活動) に与える影響を分析した研究である (本研究についても, 大まかな設定は2020年度報告書を参照のこと). 今年度は, 昨年度に引き続き理論モデルの構築を行った. 第3研究は, 治療成績の公表と他の医療政策 (特に医薬品産業のマーケティング活動規制) について分析した研究である. 本研究についても昨年度に引き続き理論モデルの構築を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度までの研究では, 3研究のいずれにおいても若干の遅れが見られた. 第1研究については, 得られた結果に対する直観的な理解や, 解釈においてやや難解な点があり, それらの点に対処するための追加分析が必要となったため, 当初の計画よりもやや遅れが生じた. 第2研究, 第3研究については, いずれも理論モデルの構築において問題が発生し, 追加の分析や文献調査等の対処が必要となったため, 当初の計画よりもやや遅れが生じた. 従って, プロジェクト全体の進捗状況として "やや遅れている" と判断した.
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今後の研究の推進方策 |
補助事業期間延長が承認されたため, 2023年度中に以下の点について取り組む: i) 第1研究について学術誌への投稿を行う (2023年6月末まで) ii) 第2研究, 第3研究については, 速やかに理論モデルの構築を完了させ, ディスカッションペーパーの発行と学術誌への投稿を行う (2024年3月末まで). また, 一連の研究プロジェクトにおける作業中に, 新しい研究テーマや医療政策における問題点がいくつか見つかったため, 2024年度以降に研究に取り組むこととする.
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