研究課題/領域番号 |
20K13542
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07070:経済史関連
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
林 彦櫻 弘前大学, 人文社会科学部, 助教 (90846354)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 零細小売業 / 女性労働 / 事業転換 / ボランタリー・チェーン / 家族経営 / 衰退 / 自営業の衰退 / 小売業 / 地域社会 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、中心市街地商店街の空洞化や地方の買い物難など、1980年代半ば以降における零細 小売業の衰退がもたらした流通問題が注目されている。本研究は、「在来産業論」や流通論の研究成果を視野に入れつつ、産業・地域社会・家族との重層的関係の視点から、零細小売業の衰退過程を歴史的に分析する。それにより、本研究は日本経済史において大きな関心が示されてきた「小経営」の戦後的展開の実態解明に貢献することを目指すとともに、今日の商店街の空洞化問題や、自営業の衰退等の現実問題にも一つの歴史的な手がかりを提示したい。
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研究実績の概要 |
林彦櫻は2022年度に研究課題である「零細小売業の衰退に関する歴史的研究」をめぐって,主に2本の論文を刊行し,また2回の国際学会の報告を実施している。刊行論文のうち,「戦後日本における零細小売商の家族経営と商業婦人の役割ーー1950年代後半から1980年代初頭を中心に」は査読付論文で,経済史の全国学会誌である『歴史と経済』で刊行している。もう一本の論文は,「安定成長期における中小小売業の事業転換」をテーマとし,弘前大学人文社会科学部紀要『人文社会科学論叢』で発表している。国際学会については,「The Decline of Small Retailers in Japan after the mid-1980s」という題目でEuropean Business History Association 25th Annual Congresssで報告した。また,零細小売業の衰退と関連するテーマとして「The Voluntary Chain Policy in Japan's High-growth Period」をテーマに「Industrial Policy and Technology Transfer in East Asia during the Cold War: A Comparative History」という国際ワークショップで報告した。これの研究実績は本研究課題をめぐってこれまで展開してきた研究活動の重要な成果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,昨年予定している論文の刊行や学会発表が実現されたため,研究計画が比較的順調に進んでいる。刊行論文のうち,一本の論文が日本における経済史・経営史関連の三大誌の一つである『歴史と経済』で査読付論文として刊行されたことは,本課題の研究成果が学会で評価されることを示している。また,研究報告はいずれも国際学会での報告であり,本研究の成果を国際的に発信する取り組みである。さらに,本研究課題のテーマである零細小売業の歴史的研究を進めていくうちに,研究対象を中小小売業やボランタリー・チェーン等に拡張することで,戦後日本における小売業の歴史を中小企業の観点からより立体的な全体像を描くことができるようになった。以上の進捗状況から,2022年度本課題の研究活動はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は,以上の研究成果を踏まえ,研究のさらなる深化に努める予定である。具体的には,これまでの研究であまり分析できなかった流通政策の影響について研究を進め,特にボランタリー・チェーン政策の展開について2022年度の学会報告をベースに論文を作成する予定である。また,これまでの研究成果を整理して体系化し,単著の作成に向けた準備を進めることが最終年度の最大の目標である。単著の草稿がある程度取りまとまった時点で出版助成を申請し,研究課題終了後に単著を出版する予定である。
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