研究課題/領域番号 |
20K13544
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07070:経済史関連
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研究機関 | 拓殖大学 (2021-2023) 下関市立大学 (2020) |
研究代表者 |
三科 仁伸 拓殖大学, 商学部, 准教授 (10825152)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 企業家ネットワーク / 慶應義塾 / 学閥 / 門野重九郎 / 拓殖大学 / 植民地 / 経済史 / 経営史 / 門野幾之進 / 人的ネットワーク / 同窓関係 / 人材供給 / 帝国日本 / 卒業生 / 台湾 / 朝鮮 / 満洲 / 戦前期日本 / 就業構造 / 就職市場 / 高等教育機関 / 慶應義塾大学 / 学卒者 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,近代日本の企業勃興について,同窓関係に基づく学閥企業家集団のネットワークが,産業革命期に経営資金の調達や株式の募集,必要の人材の確保を行う上で,どのような役割を果たしたのかを実証的に明らかにする。慶應義塾出身の企業家集団のうち,和田豊治や門野幾之進らを中心としたネットワークを検討対象とし,富士瓦斯紡績や千代田生命を検討事例として,学閥企業家ネットワークの機能及び形成を分析する。また,慶應義塾出身者の経済界での活動を時系列的に把握し,学卒者のキャリア形成の過程をマクロ的に把握する。総じて,従来の研究史とは異なる視角から,学卒企業家における相互補完的な関係性を明確に打ち出していく。
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研究実績の概要 |
2023年度は,慶應義塾大学出身の学閥企業家集団のうち,門野重九郎の経済活動について,分析をおこなった。門野重九郎は,千代田生命を設立した門野幾之進の実弟であり,ペンシルヴェニア鉄道や山陽鉄道で働いたのち,大倉組に入り,副頭取まで務めた人物である。彼に関する史料(特に,ヨーロッパ滞在に作成した書簡など)は,三重県鳥羽市にある門野幾之進記念館に保存されているため,同所での史料調査を実施した。また,新聞や雑誌に掲載された彼の論評を分析した。 上記の分析により,門野重九郎自身が関与した鉄道事業との関りを明らかにし,特に東京における地下鉄建設に果たした役割とそれに伴う五島慶太との関係を明らかにした。また,対中国の鉄道投資に対する見解を経年分析することで,グローバル経済に対する彼の認識を検討した。その成果は,鉄道史学会第41回全国大会にて,「門野重九郎の鉄道論」と題して報告をおこなった。本報告の内容については,2024年度中に,論文として刊行する計画である。 また,2022年度より実施ている拓殖大学出身者のキャリア形成に関する研究について,同窓会などの関連資料の収集を進めており,2024年度も継続する予定である。特に,戦前期の植民地地域における同窓関係に基づく人的資源の調達過程を明らかにする予定である。 なお,本研究活動を中心としたこれまでの研究成果について,2024年度中に書籍とした刊行予定である。2023年度においては,そのための追加調査も実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度は,コロナ禍からの回復が見られたが,これ以前においては,その影響は甚大であった。特に遠方への資料調査などは,社会的な自粛要請に鑑み,抑制せざるを得なかった。 こうした研究活動の遅延は,2024年度内で回復する計画である。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は,本研究活動の最終年度に位置づけられるため,第一に,これまでの研究成果をまとめた書籍の刊行をおこなう。現状では,すでに出版社に原稿を提出しており,刊行に向けた具体的な作業に入っている。この間,必要な追加調査や議論の精緻化をおこなうことで,本研究活動による研究成果を社会に還元したいと考えている。 第二に,2023年度に中心的に取り組んだ門野重九郎に関する研究内容を,論文として刊行していく。現状では,その執筆にとりかかっており,あわせて必要な追加調査を実施している。 第三は,植民地における高等教育機関出身者の人材移動について,拓殖大学を事例としてあきらかにすることである。そのために,同窓会関連の資料を収集するとともに,その内容の分析を実施している。この分析をおこなうことで,これまで取り組んできた慶應義塾出身者の学閥ネットワークの相対化をおこないたいと考えている。
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