研究課題/領域番号 |
20K13550
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07070:経済史関連
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研究機関 | 公益財団法人三井文庫 |
研究代表者 |
萬代 悠 公益財団法人三井文庫, 社会経済史研究室, 研究員 (00755093)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 近世畿内 / 土地法制 / 労働市場 / 地主経営 / 契約理論 |
研究開始時の研究の概要 |
これまで申請者は、18世紀末以降の近世和泉都市近郊農村の場合、地主が地主として生き残るためには、市場を反映した適切な契約条件を提示し稀少な労働を調達する必要があったことを明らかにしてきた。しかし、労働移動の詳細な実態、小作人世帯の世帯員構成とその作付(耕作)面積、小作人世帯の労働配分状況を十分に解明できていない点が課題であった。 これに対し申請者は、堺近郊の地主旧家の蔵にのこり、しかも上記の課題を解明できる可能性を有する未整理の史料群を発見した。本研究では、この史料群の整理と解読を進め、近世日本の非農業部門成長地域における地主と小作人が結んだ小作契約の内容と、その維持の方法の解明を目標とする。
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研究成果の概要 |
研究代表者がアルバイトを雇用しながら現大阪府堺市の「髙林家文書」の整理を進めた結果、22箱分の目録を作成することができた。その点数は合計7,894点に達する。新型コロナウィルスの蔓延により、地主関係史料をすべて整理、分析することが叶わなかったが、2022年度までの整理作業において発見することが叶った救荒関係史料を用いて、豪農髙林家の地主経営の一部と金融業、領主の公金貸付と救荒についての研究成果を発表することができた。そして、この作業を通して、髙林家の居村赤畑村の人口や年貢率、髙林家の自家資産、経営収支、本家・分家関係、所有地の石高・等級・課税率の高低などを解明した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究により、髙林家の基礎情報を詳細に解明することができた。今後、この分析結果と整理した史料群をもとに、特定の地主の普通小作を選択、継続、停止、再開、放棄した小作人の世帯構成や経営規模をパネルデータ化し、小作人側の選択を規定する要因を解析することができる。一方、社会的意義については、歴史資料の大部分が戦災で失われた堺および堺近郊地域において、「髙林家文書」を公開に向けて整理し分析することは、近世堺の地域史・経済史研究の進展を促すことが期待できる。そして、近世日本においてもとくに高度な非農業部門成長地域の実態解明に大きく貢献することにつながる。
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