研究課題/領域番号 |
20K13561
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 (2022) 大阪府立大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
今井 希 大阪公立大学, 大学院経営学研究科, 准教授 (60610508)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 経営戦略 / 実践としての戦略 / 戦略形成 / 産業集積 / 戦略プランニング / 実践論的転回 / アクションリサーチ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、第一に経営戦略論で多様に捉えられてきた経営戦略概念を再検討すること、その上で、第二に企業で経営戦略がいかに形成、再形成されるのかにを検討することである。従来の戦略形成に関する研究では、分析対象が経営戦略であることの根拠を、調査対象である企業が経営戦略と呼んだもの、もしくはトップマネジメントを中心とした人々の行いなどに求めてきた。そのため、経営戦略の意味内容が多様に広がり、戦略形成研究が明らかにしたものは経営戦略の形成と言えるのかという根本的な問題が残る。これに対して、本研究では経営学の実践論的転回の研究に依拠し、経営戦略の概念化ならびに経営戦略形成の実践を検討していく。
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研究実績の概要 |
2022年度における研究実績としては、理論的研究、経験的研究の面でそれぞれあげられる。理論的研究においては、実践としての戦略(SaP)に関する近年の研究動向を整理し、ここまで行われてきたSaPの研究は、経営戦略研究における一つのアプローチとしての理論的な一貫性よりも、経験的研究をつうじてインプリケーションの蓄積を重視してきた研究コミュニティの一つとして捉えることができること、そのため、SaPには代表的な理論モデルを指し示すことが非常に難しいことを示した。その上で、SaPにおいて行われてきた理論モデル構築の試みについて、そこで示された理論モデルと、後続する研究におけるこのモデルの利用のされ方について検討を行った。この検討については、同文館出版より刊行された『キーワードからみる経営戦略ハンドブック』に分担執筆という形で公表している。 また、経験的研究においては、経験的研究を行うための準備段階として、北海道において進められたクラスター政策と、これらの政策が施行される以前から札幌に存在していたICT 関連企業の集積との関わりを検討することで、地域における計画的産業集積と非計画的産業集積との関わりについて文献資料を用いて検討を行った。北海道が施行したクラスター政策は、一方で経済産業省や文部科学省が国家プロジェクトとして進めてきたクラスター政策の一環として、トップダウンで行われたという側面もある。しかし、政策実行のための具体的なスキームは、当然ながら地域の課題を解決し、強みをより強化することができるよう、地域の産業界の声を取り入れながら構築されるものでもある。そこで、特にクラスター政策の施行の前段階において、この政策の推進主体がどのように地域の声を反映させながら政策を実行していったのかに注目しながら経時的な検討を行った。この検討はディスカッションペーパーとして取りまとめられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の目的は実践としての戦略のアプローチに基づいて経営戦略概念について検討を行うことであるが、当初予定していたアクションリサーチを通じた経営戦略概念の検討については、COVID19の影響により調査が難しくなったため、2021年度に日本企業に経営戦略に関する言説が与えた影響に関して分析することを通じて、経営戦略概念に関する検討を行うという形に研究の進め方の変更を行った。2022年度は、新たな方向性の意義を検討するための理論的検討、ならびに文献ならびに関係者への聞き取り調査を通じた資料の収集、整理を行ったが、自身、ならびに家族のCOVID19への感染、入院加療をはじめとするCOVID19の影響により特に2022年度前半に聞き取り調査を思うように進めることができなかった。そのため、進捗はやや遅れているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
研究の進め方については変更はないが、2022年度については、特に前半に調査を行うことができなかったため、全体として研究の進捗に遅れが生じている。当初は、研究機関は2022年度末までであったが、調査を行えず予定していた予算を執行することができなかったため、予定していた研究期間を1年延長し、2023年度も引き続き当該研究を継続し、日本企業に経営戦略に関する言説が与えた影響に関する経時的分析を行う。
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