研究課題/領域番号 |
20K13572
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
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研究機関 | 国際基督教大学 (2022-2023) 京都産業大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
具 滋承 国際基督教大学, 教養学部, 准教授 (00746878)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | M&A / Lender-borrower関係 / Stakeholder理論 / 買収パフォーマンス / M&A / コーポレートガバナンス / ステークホルダー理論 / Lender-borrower 関係 / Stakeholder theory |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、企業の買収を促進もしくは妨害する主体として、買収・被買収企業の主要ステークホルダーである債権者の金融機関をあげ、企業と金融機関の関係が企業買収後のパフォーマンスを示す累積異常利益率(Cumulative Abnormal Return、以下CAR)に与える影響について理論モデルを作成し、統計的分析により検証することである。理論的背景は、ステークホルダー理論である。対象となるサンプルは、2000年以降現在までに日本の上場企業間で発生した買収とする。
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研究実績の概要 |
本研究は、企業の買収を促進もしくは妨害する主体として、買収・被買収企業の主要ステークホルダーである債権者の金融機関に注目し、企業と金融機関の関係が企業買収後のパフォーマンスを示す累積異常利益率(以下CAR)に与える影響について理論モデルを作成し、統計的分析によって検証することを目的としている。今までは、先行研究の分析を強化しつつ仮説や研究モデルを構築し、専門家インタビューによる検証、本格的な実証分析を行うための研究環境の整備を主な目標として研究活動を進めてきた。 その結果、企業の買収を取り巻く買収・被買収企業の主要ステークホルダーの影響について、研究代表者のこれまでの研究内容をまとめ、企業買収がアライアンスパートナーに与える影響とファイナンシャルアドバイザーが企業買収に与える影響に関する実証研究論文を投稿し、海外学術誌であるJournal of Business ResearchとJournal of Asian Finance, Economics and Businessに掲載された。また、企業の戦略的な意思決定に対する金融機関を含むステークホルダーの影響を総合的にまとめ、経営学を学ぶ大学生や経営学を初めて学ぶ社会人を主な対象とした書籍を出版した。 さらに、掲載された論文の理論的基盤に基づき、主要ステークホルダーである金融機関との関係が企業買収に与える影響を分析するための研究モデルを構築し、理論的貢献を最大化するための分析方法を設計した。本格的な実証分析を行うためにデータ収集作業を追加的に行いながら、分析活動をより深めるためにハードウェア面での研究環境を整備した。実証分析の精度を一層高めるため、CAR以外の従属変数の導入や金融業界や銀行などの独特な特性を考慮した独立変数の使用に工夫を凝らし、最新の分析トレンドを取り入れた研究モデルの構築や分析モデルの改善に努めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、企業と金融機関の関係が企業買収後のパフォーマンスを示す累積異常利益率(以下CAR)に与える影響をより総合的に検証するため、直近15年間のM&A取引、上場企業の財務・金融機関との取引など幅広く関連データを収集し、変数化する作業を進めている。さらに、分析モデルの説明力を向上させるため、従属変数である買収後パフォーマンスに影響を与える多様な企業情報データを活用し、分析モデルの理論的インパクト・分析の精度を上げる作業を行っている。 また、企業の買収を取り巻く買収・被買収企業の主要ステークホルダーの影響についての研究代表者のこれまでの研究内容をまとめ、企業買収がアライアンスパートナーに与える影響とファイナンシャルアドバイザーが企業買収に与える影響に関する実証研究論文を投稿し、海外学術誌であるJBRとJAFEBに掲載された。掲載された論文の理論的基盤に基づき、主要ステークホルダーである金融機関との関係が企業買収に与える影響を分析するための研究モデルを構築・強化し、理論的貢献を最大化するための分析方法も設計することができた。 令和5年度には、分析モデルの精度を向上させることを中心に作業を進めてきた。最近の研究トレンドでは、実証研究の分析モデルの精度が向上しており、理論または実務的に有意義な変数を取り入れ、分析の精度をさらに高めるための工夫に時間を割いた。CAR以外に利息率を従属変数として取り上げることを考え、適切なデータを求めるとともに、金融機関の格付けとそれに関連する新たなデータの探索を行った。データ取得のため必要な範囲を定め、業者との交渉を行うなど、研究結果に実益をもたらす最適な条件を整えるために最善の努力を尽くした。しかし、改善作業の結果として新たな分析結果を得ることはできなかった。今後は、まとめたデータに基づき分析作業を進め、より有意義な結論を得られることを期待している。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度には、企業と金融機関の関係が企業買収後のパフォーマンスに与える影響に関する研究の改善作業を続け、新たな分析モデルを用いた統計分析を完了させる予定である。本格的な論文執筆と学術界での発信作業を行う計画である。必要に応じて、追加的なデータ購入も想定しているが、まずは論文執筆に注力する予定である。 年度末には分析結果をまとめ、海外学会(Academy of Management、Strategic Management Society)の年次大会に向けて投稿することを目標としている。学会での発表により得られたフィードバックを論文の改善に反映させ、学会の場を活かして主要ジャーナルの投稿先を模索することも視野に入れている。完成した論文は、マネジメント分野、特に経営戦略またはマネジメントサイエンス系の実証分析に特化した著名な海外学術誌を中心に投稿を行う予定である。
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