研究課題/領域番号 |
20K13587
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
大神 正道 名古屋市立大学, 大学院経済学研究科, 講師 (90581603)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 技術マネジメント / 技術進歩 / S曲線 / 脱成熟 / スタートアップ / IPO / フロート法 / 情報通信産業 / 技術進化 / 技術認識 / 技術の併存期 / 事例研究 / イノベーション / 技術併存期 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、複数の技術が競合・併存する期間に焦点を当て、技術的認識がどのように変化(収束あるいは、さらなる発散)していくのか、そのメカニズムの一端を検討する。具体的には、(新技術の台頭によって既存技術の進歩がみられる)「帆船効果(the sailing ship effect)」あるいは「最後のあがき(Last Gasp)」という観点から先行研究を検討し、複数の事例を作成する。複数事例の比較から、「帆船効果」や「最後のあがき」が生じる場合と、生じない場合の境界条件を整理する。とりわけ企業がマネジメント可能な社会的な諸要因を明らかにすることを試みる。
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研究実績の概要 |
2022年度は大きく2つの研究実績に分けることができる。1つは、東北大学の一小路武安氏、東洋大学の中野剛治氏とのスタートアップ企業に焦点を当てた共同研究による成果である。前年度にプレプリントとして発表したマクロ環境がスタートアップ企業のIPOに与える影響に関する成果(一小路・中野・大神, 2022)を、『Annals of Business Administrative Science』誌に投稿し、「Hot market (Abenomics) impact on the time to IPO」として掲載された。また、共同研究を進めるにあたって構築した「日本の情報通信産業のIPOデータベース 2009-2015」というデータセットも発表している。具体的には、2009年から2015年までの日本の株式市場に上場した情報通信産業の企業のデータ(企業名、上場市場名、上場年月日、実質設立年月日、上場年数、起業タイプなど)が含まれている。 もう1つは、技術進歩のS曲線に関する研究成果である。プロセス産業における技術進歩のS曲線の形成過程とその脱成熟の要因を探ることを目的とした研究で、『国際地域経済研究』誌に掲載された。具体的には、板ガラスの成形技術、とりわけ現在においても支配的な技術であるフロート法を対象とし、特許出願動向のデータを収集・検討している。その結果、フロート法のS曲線は、建築・自動車用ガラス市場で形成されたように見えるが、液晶ディスプレイ用ガラス市場の誕生によって、さらに伸展する様が明らかになった。さらに、この技術の脱成熟と言える現象は、既存市場に留まった欧米企業ではなく、新市場に進出した日本企業が牽引していたことがわかった。つまり、プロセス産業における新たな顧客の出現が、技術の脱成熟に影響を与えている可能性を示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
若干の遅れが生じていると考えている。2021年度に引き続き、再びコロナ禍のような状況が生じても対応できるように、データベースに新しい情報の追加等の作業にエフォートを費やした。また、そのデータから可能な分析や追加のインタビュー調査等に関する議論を進めていた。以上の理由からもともとの研究課題について遅れが生じてしまったと言える。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度(最終年度)はこれまでの研究の進展をまとめることに焦点を当てる。複数の技術が競合・併存する期間に焦点を当て、技術的認識がどのように変化(収束あるいは、さらなる発散)していくのか、そのメカニズムの一端について明らかにできるように、追加的なインタビュー調査等を実施して論文化を行う。
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