研究課題/領域番号 |
20K13603
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
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研究機関 | 松本大学 (2023) 中京学院大学 (2020-2022) |
研究代表者 |
古田 成志 松本大学, 総合経営学部, 准教授 (60706729)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 組織変革 / ラディカルな組織変革 / センスメーキング / 経営環境の認識 / テキストマイニング / 有価証券報告書 / 計画的変革 / 創発的変革 / 組織のライフサイクル / 組織変革論 |
研究開始時の研究の概要 |
ラディカルな組織変革は、組織における既存の枠組みを根本的に変革することを意味する。ラディカルな組織変革は、計画的変革(トップ・マネジメント主体の戦略、組織構造などの転換)、創発的変革(ボトム層主体の小規模な変革の蓄積)と2つの有力な議論が存在する。しかし、双方の視点を統合した研究は十分に検討されていない。本研究では以下の2つの研究課題を設定する。①計画的、創発的な組織変革を共に遂行する日本企業の特徴を、テキストマイニングによる分析から導出する。②グラウンデッド・セオリー・アプローチに基づいた事例研究を行い、計画的、創発的変革を統合したラディカルな組織変革の仕組みを構築する。
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研究実績の概要 |
本年度の主たる研究実績は以下の2点である。1点目は経営環境を認識する枠組みを既存研究から整理したことである。経営環境を認識する枠組みは経営者の環境認識、ダイナミック・ケイパビリティ、センスメーキングの議論が存在するが、本研究ではセンスメーキングに着目した。センスメーキングは不確実性が高い経営環境の変化に関するデータを収集・解釈し、組織として意味づけを行ったうえでどのような行動をとるかを示した枠組みである。本年度はセンスメーキングの既存研究を網羅的に収集したうえで、研究の進捗状況を整理した。また、経営環境を認識するプロセスは実証研究を通じて議論されているが、認識した経営環境の内容を踏まえて分析した研究は十分蓄積されていないという研究上の課題を導出した。 2点目は有価証券報告書のデータを用いたテキストマイニングを実施し、時系列の推移から認識した経営環境の中身を検討した。本年度は小売業、情報・通信業に属する日本企業(東証一部上場企業)を対象に、2018年期から2022年期の経営環境に関するテキストデータ(有価証券報告書の「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の項目)をもとに分析を行った。分析ではText Mining Studioを用いて、単語頻度解析、特徴語抽出分析、共起ネットワーク分析をそれぞれの業種・年期別に実施した。主要な分析結果は以下の2点である。1点目は、小売業は情報・通信業と比較して単語間の共起関係の数が多かった。つまり、多様な経営環境を認識していたと解釈することができる。2点目は、情報・通信業のほうが小売業と比較して経営環境をポジティブな単語として捉えていることが統計的に検証された。 これらの研究成果は本年度経営戦略学会にて報告を行い、学会でのフィードバックを踏まえて論文投稿の準備を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績の項で述べたように、小売業、情報・通信業と異なる産業を対象に、認識した経営環境の違いを時系列で比較分析を実施することができた。しかし、センスメーキングの枠組みにおいて、認識した経営環境をもとにどのような行動をとるか、つまり組織変革に至る仕組みを構築するという研究目的に対して本年度に進展させることができなかった。したがって、「やや遅れている」状況であると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度に引き続き、テキストマイニングによる分析による研究を推進する。組織のライフサイクル概念を行動の変化と捉え、有価証券報告書の「対処すべき課題」のテキストデータを加えた分析を実施する。認識した環境を踏まえどのような対応をとったかという分析結果を通じて、組織変革の仕組みを構築することを計画する。
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