研究課題/領域番号 |
20K13649
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07100:会計学関連
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研究機関 | 駒澤大学 (2022) 帝京大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
塚原 慎 駒澤大学, 経営学部, 講師 (90806374)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 資本会計 / 負債と持分の区分 / 転換社債 / 自社株買い / 優先株式 / 債務の株式化 / 裁量的行動 / リキャップCB / 経営者の心理的特性 / 負債と持分の区分問題 / 財務会計 / 最適資本構成 / 金融商品会計 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,企業の負債と持分の割合(資本構成)に着目し,主たる事業活動の変更を伴わずこれを調整する要因と,その後の経済的影響について分析する。 コーポレート・ファイナンスの学問領域では,企業価値を最大化させる均衡点としての最適資本構成が探求されてきた。一方,所有と経営の分離を前提としたとき,資本構成から派生する財務指標が経営者の個人的効用に関連している場合,企業価値最大化と直結しない機会主義的な調整行動がなされる可能性がある。 そこで,会計上の定めが経済的実態と乖離する可能性のある特定の金融商品を用い,企業が機会主義的に資本構成の調整を行っている可能性と,その経済的影響について実証的な分析を行う。
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研究成果の概要 |
本研究では,既存の財務会計システムを所与とした際に,経営者が種々の目的を達成するために裁量的に資本構成の変更を行う可能性に着目し,当該資本政策実施の決定要因,経済的影響を実証的に解明することを目的としている。検証の結果,「負債比率増加型」としてのリキャップCBについては,最適な資本構成の実現,裁定機会の提供等の目的とともに,経営者の私的利益の最大化目的が措定できる可能性が見いだされるとともに,証券市場の反応も年次により異なる可能性が示された。「負債比率減少型」としての優先株式を用いた債務の株式化については,財務状況が極めて困窮した企業に対する救済的手段としての役割が強調される分析結果となった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究成果により,ハイブリッド金融商品を用いた資本調整行動として,経営者の私的利益最大化の目的を達成するための機会主義的な要因を措定しうることが示された。このことは,本研究計画において当初想定していた,企業の資本構成の決定要因を,財務会計の文脈から拡張することに寄与するものと考えられる。また,優先株式及び転換社債を用いた複合的資本政策を検討する過程を通じ,日本におけるこれら金融商品の活用実態を描写するとともに,「負債と持分双方の性質を有する金融商品」は,制度・慣習的な差異に応じ異なるものとなることが示唆された。このことは,当該研究領域における国際的な研究の必要性を強調するものと考えられる。
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