研究課題/領域番号 |
20K13652
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07100:会計学関連
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
小村 亜唯子 神奈川大学, 工学部, 助教 (40848529)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 顧客関係性 / 営業利益 / 利益の安定性 / 固定収益会計 / 安定性 |
研究開始時の研究の概要 |
管理会計領域において,営業利益安定化メカニズムの研究はこれまでほとんど取り組まれておらず,費用構成しか安定化要因として示されていないという限界がある。固定収益会計を中核理論として,質的・量的調査によって,営業利益安定化メカニズムを体系的にまとめることを目的とする。利益安定化という従来の管理会計にないが,安定経営や雇用の維持の要となるまったく新しい概念を世界に向けて発信する基盤となる。
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研究実績の概要 |
営業利益の安定性を高めることは,継続的投資や従業員の雇用維持の源泉となること,資本コストの低減を通じた企業価値向上につながること,利益予測の制度向上や資金調達をし易くするなど,経営上のメリットがある。しかし,これまでの管理会計研究において,利益の安定性をどのように高めればよいか,そのメカニズムがほとんど明らかにされてこなかったという問題がある。そこで,申請者は,固定収益会計という管理会計システムに着目し,利益安定化メカニズムを明らかにすることを目的として,令和4年に次の研究活動を実施した。
「研究課題③利益安定性情報が,従業員の動機づけに与える影響」について,日本企業の予算目標が与えられているマネジャーを対象として,予算目標の困難度が達成志向的ワークモチベーションを高め,予算業績を高めているという関係を量的に明らかにした。この結果については,国内学術誌『管理会計学 : 日本管理会計学会誌 : 経営管理のための総合雑誌』に投稿し,採録された。今後は,この量的結果を基礎として,顧客に関する情報や利益安定性に関する情報がマネジャーに与えられたとき,どのように従業員のモチベーションが高まるのかを深耕する。
加えて,リサーチサイトの複数のホテルにおける従業員に対するインタビュー調査を実施し,各ホテルで運用されている予算管理と方針管理が,従業員の顧客志向やダイバーシティ&インクルージョンの認識と相まって議論を活性化しているプロセスについて明らかにした。この関係については,令和5年度に量的な検証を行うことを予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
[基礎的データ収集]令和4年度にはリサーチサイトにおける従業員を対象とするインタビュー調査とアンケート調査を実施することができた。顧客に対するアンケート調査はコロナ禍の影響もあり令和4年度には見送った。 [因果関係の解析・分析モデルの構築・実態把握]管理会計,マーケティング,ファイナンス等の研究領域における先行研究レビューを行い,マーケティングで研究が進展している顧客に関する情報をどのように社内のマネジメントシステムに落とし込むかについての研究蓄積の必要性を明らかにした。また,利益の安定性に影響を及ぼすであろう顧客に関する要因以外の要因を探索するために,有価証券報告書のMD&Aセクションを対象とした構造的トピックモデルによるテキストマイニングを行い,4つの要因を抽出した。この結果については,国内学会での対外報告を行った。
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今後の研究の推進方策 |
「研究課題③利益安定性情報が,従業員の動機づけに与える影響」に引き続き取り組む。また,令和5年度に予定しているリサーチサイトの拡大のため,食品製造業やサブスクリプションサービス企業の顧客購買履歴を対象とした解析を進める。
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