研究課題/領域番号 |
20K13661
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07100:会計学関連
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研究機関 | 中央大学 (2021-2022) 関西学院大学 (2020) |
研究代表者 |
川端 千暁 中央大学, 商学部, 助教 (30844443)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 監査人の注意義務 / 監査人の法的責任 / 財務諸表監査 / 監査人の法的注意義務 / 監査人の責任 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、「①監査人が職業的専門家としての正当な注意を行使してもなお、裁判官や陪審員が監査人の合理的注意義務違反を認定し、監査人が責任を負うか」及び「②監査人が職業的専門家としての正当な注意を行使しても合理的注意義務違反が認められる場合、裁判官はどのような論理で責任を負わせるか」という2つの問題意識を核としている。研究手法としては、歴史資料及び判例資料を用いた経験的研究及び経験的研究の結果を踏まえたモデル研究を行う。本研究は、監査上の重要な概念である職業的専門家としての正当な注意の本質を解明し、現代的な意義を問い直すことを企図している。
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研究実績の概要 |
2022年度の実績として、雑誌『経理研究』に「法的注意義務と監査基準 : Maduff Mortgage社事件の判例分析」を公表した。同研究では、1980年代から1990年代にかけての米国におけるコモン・ローの判例であるMaduff Mortgage社事件を分析した。同事件においては、監査基準に準拠していないときにのみ監査人に注意義務違反が認められる旨の説示が行われなかったことについて法律問題として争われたが、同論文は事件において監査人が監査基準に準拠しても注意義務違反を認める可能性があることを示されたと結論付けた。 また、雑誌『商学論纂』に「「職業的専門家としての正当な注意」概念の確立─米国における1978年から1997年までの史的分析─」を投稿した。同論文の目的は、これらの職業的専門家としての正当な注意概念の意味内容、およびその下位概念(合理的保証と職業的懐疑心)との関係を明らかにすることにあり、1978年のCAR(1978)の公表後から1997年のSAS第82号の公表までの過程を分析した。本論文は、文献からSAS第82号における「職業的専門家としての正当な注意」の基礎的な概念構造を明らかにした。 また、2022年に行われた日本監査研究学会第45回全国大会において、「「職業的専門家としての正当な注意」の検討-Rolls-Royce社事件における監査人の責任についての事例研究-」を発表した。以下、AEP)の事例を検討する。具体的には、英国において2021年に財務報告評議会(FinancialReportingCouncil:以下、FRC)による(Rolls-Royce社に監査を行った)KPMG監査事務所とその監査人に対する監査執行手続(AuditEnforcementProcedure:以下、AEP)の事例を検討した。同発表は、現在論文にして投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度に続き2022年度も、新型コロナウィルスによる感染症の影響により、実地調査・資料収集等が困難であったため、変更を伴うこととなった。ただし、判例研究および歴史・概念研究については進捗状況は進んでおり、一定の目途がついてきたのように思う。今後、引き続きこれらの研究をすすめていくとともに、モデル研究を論文にしていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、引き続き歴史資料及び判例資料を用いた経験的研究及び経験的研究の結果を踏まえたモデル研究を行う。2022年度の研究の推進方策としては、引き続きモデルの部分の雑誌投稿を行うとともに、経験的研究の雑誌投稿を継続的に行っていく。また、2022年度までに学会で発表した論文の修正と修正論文の投稿を行っていく。古典的文献の調査・翻訳も行う。
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