研究課題/領域番号 |
20K13664
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07100:会計学関連
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研究機関 | 大手前大学 |
研究代表者 |
坂元 英毅 大手前大学, 現代社会学部, 准教授 (40804307)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 公会計 / 行政評価 / 業績予算 / 行政経営 |
研究開始時の研究の概要 |
わが国地方自治体では、行政評価から得られる業績情報が、十分に活用されていないという指摘がある。本研究では、これまで十分に検討されていない、事前のアカウンタビリティ・説明責任に焦点を当て、主要な利害関係者である議会や住民が、その事前統制である予算プロセスにおいて、業績情報をどのように活用しうるかについて、探索的に検討する。議会議員を対象としたフォーカスグループや、英国地方自治体での実践事例の観察等を通じて、業績情報の受容から行動変容に至る過程で、議会・住民が何を見て、何を感じ、それをどう評価し、どのような行動につなげているのかを分析する。
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研究実績の概要 |
本研究の主題は、地方自治体における主要な利害関係者である議会や住民が、業績情報に対して有する情報ニーズの態様と、ニーズが充足された結果どのような行動改善が見られるのかについて探索的に検討することである。わが国の地方自治体では、行政評価から得られる業績情報が予算編成に十分に活用されていない、という指摘がなされていることを踏まえ、議会や住民がどのように業績情報を活用することができるか、を明らかにすることを目的としている。 昨年度までは、業績情報の予算編成への活用に関する近年の国際的な研究、実務の動向を分析するため、海外文献を渉猟、検討した。議員による立法的予算プロセスにおける「道具的」な業績情報の利用は限定的であるが、象徴的、修辞的といった「非道具的」利用については多くのエビデンスが確認されている。すなわち様々な国で進められた研究結果として、議員への意識調査等による回答では、業績情報は利用されているように観察されるが、他方でフィールド実験や非参与観察のデータからはそれが裏付けられないことがわかった。当初計画に予定していた海外での非参与観察では両者を横断的に解釈するためのデータが得られると考えられるが、本年度も新型コロナウイルスの影響により断念した。そこで研究期間を延長し、次年度の実施に向けて注力する。 他方、住民による利用については、国内における事例を調査しながら課題抽出を進めてきた。 一つは、行政機関でありながら地域コミュニティに信頼の基盤を持つ消防団に着目し、その業績評価ならびに財務ガバナンスに関する現状について調査を行ったことである。その結果、導出された消防団のガバナンス上のリスクを論文にまとめた。もう一つは、NPOによる利活用について、NPGを含むポストNPMの概念を参照しながら理論的な検討を行った。これらを進め、今後実施する海外調査における分析視点の精緻化を目指している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画では2020年度から2021年度にかけて英国地方自治体の訪問調査を実施し、住民説明会への非参与観察を通じて、業績情報を利害関係者がどのように受容するかを検討することとしている。 本年度も引き続きコロナ禍の影響により、訪問調査が困難な状況にあったことから上記調査が実施できなかった。しかしながら、調査の性質上オンライン等による代替は効果が期待できないため検討していない。 これまで実施した文献調査や国内でのヒアリング調査などを取りまとめ2篇の論文を執筆したが、英国への訪問調査が滞っていることから「やや遅れている」とした。
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今後の研究の推進方策 |
英国におけるコロナウイルス感染症の状況を注視しながらではあるが、これまで実施できなかった渡航調査を2023年度に行う予定である。また調査結果を取りまとめ学会報告を行うことを予定している。
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