研究課題/領域番号 |
20K13670
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 石巻専修大学 (2021-2022) 大阪大学 (2020) |
研究代表者 |
野島 那津子 石巻専修大学, 人間学部, 准教授 (00788614)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 「給付金のたかり屋」 / メディア / 監視文化 / 監視社会 / 社会的振り分け / 「合理的差別」 / 社会的排除 / 嫉妬 / 排除 / 生活の可視化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、英国における給付金受給者の生活の可視化と社会的振り分けとの関係を検討し、当該社会における監視と排除の実態を明らかにしようとするものである。とりわけ病人や障害者に着目し、メディアによる生活の可視化を通して、彼らがその資格――誰が「本物の」病人や障害者で、誰が「偽物の」病人や障害者なのか――を社会的に評価され分類されるプロセスや条件について分析を行う。ある種の人々の排除がどのようにして生じ、また社会的に正当化されるのか、すなわち「合理的差別」というべき事態が、なぜ、どのようにして生じるのかを監視文化の観点から解明することを目指す。
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研究実績の概要 |
コロナ禍の影響で今年度も渡英できず、BFIでの番組閲覧・データ作成ができなかった。こうした外的要因のため、昨年度と同様に「給付金のたかり屋」に関する新聞記事のテキストデータの収集・整理ならびに文献研究を中心に行った。とりわけ、昨年度の分析で明らかとなった「給付金のたかり屋」の指示対象について、各カテゴリーが置かれてきた社会的状況や時代背景にも目を配りながら、複雑化する排除現象の把握に努めるとともに、日本における社会的排除の事例や排除されやすいカテゴリーについても研究を行った。 阿部(2018; 2021)をはじめとした貧困研究で指摘されているように、本邦の相対的貧困率は高齢になるほど高く、とりわけ女性の貧困率が高い(ただし、女性の場合はほとんどの年齢層で男性よりも貧困率が高い)。また、障害者の貧困率に関しては、体系的な研究は行われていないものの、健常者の倍であることが示されている(山田・百瀬・四方 2015)。とくに、高齢×女性×障害のある人々の貧困率が極めて高いことも指摘されているが、こうした層への支援は十分ではない。理由として、「非生産性」(非出産年齢、非労働年齢、非健常)が言われているが、それだけでなく、こうした人びとは家族によって「包摂」されるべきという家族規範もまた、社会的支援を阻んでいる要因だと考えられる。加えて、社会的支援が「地域内での助け合い」に矮小化されるなか、「助け合い」という言葉から示唆されるように、地域内での「義務」(行事への参加や共同体への諸々のコミットメント)を果たさない/果たせない場合、支援の対象からこぼれ落ちうる。こうした社会的支援の貧困を鑑みるに、上記の層への支援として真っ先に求められるのは公的かつ経済的支援であることを提起した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
昨年度に引き続いてコロナ禍により渡英することができず、BFIでのデータ作成を実施することができなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
渡英しBFIにて番組閲覧ならびにデータの作成を行う。新聞記事のテキストデータについても、渡英時に大英図書館にて重要記事・媒体の閲覧を行う。また、国内で閲覧可能な記事・媒体については、適宜国立国会図書館にて作業を行う。なお、研究計画上、1回のみの渡英では必要なデータ作成を行うことができないため、研究期間の延長を申請したい。そのうえで、上記の調査と並行して、新聞記事データの分析ならびに文献研究の成果を論文化する。
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