研究課題/領域番号 |
20K13684
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 大谷大学 (2020, 2022) 立命館大学 (2021) |
研究代表者 |
野村 実 大谷大学, 社会学部, 講師 (70823227)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | モビリティ / 地域公共交通政策 / MaaS / 官民共創 / 共助交通 / 自家用有償旅客運送 / 中山間地域 / 地域公共交通 / 官民・市民連携(PPPP) / 互助輸送 / 交通政策 / 官民+市民連携(PPPP) / 自家用有償運送 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、中山間地域における高齢者等のモビリティ確保策を、先進事例における実践と政策展開から導出するものである。人口減少や高齢化の進行する中山間地域では、バスやタクシーなどの交通インフラが欠如している一方で、その課題解決策は個別具体事例にとどめられている。 そこで本研究では、京都府内の複数の中山間地域を事例として、俯瞰的な視点から生活課題の把握、自発的な実践のプロセス、新たなモビリティの政策展開という3つの側面に着目する。特に、既存の交通工学や交通経済学の学問的基盤を参照し、社会学の立場から現代社会の移動・交通問題を分析し、同様の課題を抱える他地域に具体的な政策提言を行っていくことを目指す。
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研究実績の概要 |
本研究は、中山間地域におけるモビリティ確保策について、全国各地における多様なアクターの実践と、近年の地域公共交通・モビリティ政策の動向から導出することを目的としている。2022年度の研究実績の概要として、次の2点が挙げられる。 第1に、多様なアクターの協働によるモビリティ確保のプロセスを部分的に解明した点である。2022年6月に実施したフィールドワークに基づき、地方自治体と交通事業者の官民共創によるモビリティ確保策のあり方を明らかにしている。とりわけ、近年の政策動向を概観すると、地域交通の「共創」がキーワードとして表出する中で、共創プラットフォームをいかに構築していくかや、それをどう持続可能な形で運用していくかが政策的・実践的課題となっている中で、ケーススタディを通じた考察を深めてきている。 第2に、高齢者のモビリティ確保に向けた地域生活の実態部分の把握に努めた点である。2022年8月には、岩手県陸前高田市において運転免許返納者(非保有者)を対象にしたインタビュー調査を実施し、同居や近居の家族の送迎に頼っていること、こうした「家族インフラ」がない場合には外出が困難となっていることをフィールドワークを通じて明らかにしてきた。他方で、陸前高田市やその他地域でも実施されている共助交通の役割についても、交通政策担当者や地元住民との意見交換を通じて確認してきた。こうした点は、前年度までに実施してきた共助交通に関わる現地調査とその成果をふまえ、政策と実践へのヒントの導出が可能になるものと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
岩手県北部でのフィールドワーク(2022年6月)や陸前高田市での調査(2022年8月)などは実施できたものの、当初予定していた近畿北部地域でのフィールドワークの実施や、その成果公表ができなかったため、やや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究では、主に以下2点の調査研究に取り組みたい。 第1に、持続可能な地域公共交通政策の形成に向けた住民参加の方策について、自家用有償旅客運送などの共助交通の実践事例から解明を試みていきたい。とりわけ、地域交通のリ・デザイン(再構築)が掲げられ、その具体事例の蓄積が政策的・実践的観点からも求められている中で、これまで調査研究を行ってきた京都府や兵庫県の北部地域での事例を中心として、類似事例を取り上げながら比較検討を図っていきたい。具体的には、研究代表者が地域公共交通会議の会長として関わっている兵庫県丹波篠山市を中心に、市内での自家用有償旅客運送などの交通資源に関わるフィールドワークを展開したい。 第2に、MaaS(Mobility as a Service)などの新たなモビリティサービスが、地方部においていかなるプロセスで馴染むのかについて、こちらも補足的な調査を通じて明らかにしていくことを試みる。これまでの調査でも明らかになったように、特に京都府北部で実施される地方版MaaSのサービスは、ICT活用等を試みているものの、MaaS本来の意味である複数交通モードとの連携という意味で、課題を残していると言わざるを得ない。他の交通事業者との連携・調整や、誰がイニシアチブをとってMaaSサービスを展開していくのかという視点に立った際、2022年度の調査で得られた官民連携の視座や、住民送迎が関わる場合の官民・市民連携の視座を参照しつつ、地方部における新たなモビリティサービスの将来像を構想していくことにつながるものと考えられる。
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