研究課題/領域番号 |
20K13686
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
西尾 雄志 近畿大学, 総合社会学部, 教授 (30434335)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | ハンセン病問題 / ワークキャンプ / NGO / 経験学習 / 公共圏・親密圏 / ボランティア |
研究開始時の研究の概要 |
日本におけるハンセン病問題は、療養所入所者の減少に伴い、収束に向かっているとの見方もできるが、人権啓発・人権教育の面では十分な成果があるとは言い難い。 本研究では、ボランティア活動によってハンセン病回復者との間に疑似家族的な親密圏を構築しながら、ハンセン病のスティグマ軽減に効果をあげている事例(中国ハンセン病回復村における学生らのワークキャンプ活動)に注目し、その分析を通して、ハンセン病問題の教育プログラムを構築する。それにあたり、ワークキャンプの有するユースワーク的要素にも着目して研究をすすめる。
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研究実績の概要 |
日本におけるハンセン病問題は、1996年のらい予防廃止、2001年の国賠訴訟、そして2019年の家族訴訟にみられるように、制度面では改善の方向に進んできている。しかし制度面での進展の反面、2003年のハンセン病回復者宿泊拒否事件にみられるように、人権啓発の面では十分な成果を上げたとは言い難い。日本におけるハンセン病の現状を端的にまとめるなら、制度面、つまり公的側面においてはハンセン病問題への改善の兆しが見られ、かつ市民感情としてもそれを基本的に肯定的に受けとめている。しかしその反面、それが温泉など自らの親密圏に近い領域に近づこうとすると徹底的に忌避する、というのが現状である。これらの現状を踏まえ本研究では、ボランティア活動によってハンセン病回復者との間に疑似家族的な親密圏を構築しながら、ハンセン病のスティグマ軽減に効果をあげている事例に注目し、そのエッセンスを分析し、それを基にハンセン病問題の教育プログラムを構築する。 同時に、考察の対象となる活動のスタイルが、ハンセン病問題以外のテーマに対しても応用可能であることを検討し、さらには、具体的な活動プログラムを作成し、実施するとともに、継続的に検討していく。 上の研究を実施するため、ハンセン病問題に取り組むNGOの活動、ハンセン病問題を対象とはしていないが、類似した活動を行っているNGOの活動、さらには応用の検討の3つのテーマを掲げ、それぞれ研究メンバーをつのり、研究会を進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和2年度、令和3年度はコロナ禍の影響で研究に遅れが生じたが、令和4年度は定期的に研究会を開催することができ、遅れを取り戻すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
現在の研究ペースを維持し、その成果を論文として発表していく予定である。 具体的には、次の4つの研究会を同時並行的に実施していく。ひとつめは、ハンセン病問題を対象として、疑似家族的な親密圏が形成される活動を行なってきた団体の顧問をメンバーに加えた研究会である。この研究会では、ハンセン病をテーマとして、疑似家族的な親密圏形成が形成される活動の詳細を検討していく。ふたつめは、ハンセン病問題とは別の問題に対して、疑似家族的な親密圏が形成される活動を行なっている団体の代表をメンバーに加えた研究会である。この研究会では、ハンセン病問題以外のテーマに対して、この活動がどのようなポテンシャルを有するかを検討していく。3つ目は、疑似家族的な親密圏が形成される活動を実践している人をメンバーに加えた研究である。この研究会では、実際の活動プログラムを作成するための研究を行なう。4つめは、疑似家族的な親密圏が形成される活動を研究しているメンバーを加えた研究会である。この研究会は、2023年度より開始する。本研究会においては、疑似家族的な親密圏が形成される活動を、理論的にアカデミックな観点から研究する。 また、研究会以外にも調査出張を行なうほか、活動の視察や参与観察なども行なう予定である。このように多様な角度から研究を行なう。 本研究の成果は、学会誌などを通して公開していく予定である。
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