研究課題/領域番号 |
20K13693
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 大正大学 |
研究代表者 |
木村 豊 大正大学, 心理社会学部, 専任講師 (70769059)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 空襲 / 記憶 / ポストメモリー / 市民活動 / 社会学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、空襲の記憶が現在の被災地域の社会にどのような影響を及ぼしているのかについて社会学の観点から明らかにするものである。そのため、本研究では、空襲を経験していない世代の人びとによって行われている空襲に関わる活動に対して観察調査を行うとともに、その活動の参加者に対してインタビュー調査を行う。それによって、本研究では、空襲を経験していない世代の人びとがいかに空襲に関わる活動を実践しているのか、そしてそこではどのような空襲の記憶が成立し、それが被災地域の社会でどのように受け止められているのかについて明らかにする。
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研究実績の概要 |
本年度は、新型コロナウイルス感染症が収束しつつあるなかで、積極的に研究を進めることができた。 特に本年度は、空襲被災地域におけるポストメモリーと市民活動について分析するための本研究全体の枠組みを再検討するとともに、可能な範囲で現地でのフィールドワーク調査を進めることができた。特に本年度進められた調査研究は、次の4点である。 第一に、昨年度に行ったオンラインでの調査をふまえて、現地でのフィールドワーク調査を実施した。特に、東京都内で行われた空襲に関わる各種行事に対面で参加した。また同時に、その行事の関係者に対して可能な範囲で対面でのインタビュー調査を行った。 第二に、調査で得られた資料に合わせて、本研究全体の枠組みとなる記憶に関する社会学的な研究の枠組みについて再検討した。特に、記憶に関わる社会的な実践を記述分析する枠組みについて検討した。また、社会学における実践をめぐる研究の動向について検討した。 第三に、調査で得られた資料の整理・分析を進めた。特に、過去に行った調査で得られた資料とともに本研究期間に行った調査で得られた資料を検討した。また同時に、それらの資料を検討しながら今後の調査の方向性について検討した。 第四に、本研究の成果をまとめる作業を進めた。特に、調査で得られた資料を整理・分析して学会で報告するとともに、論文として学会誌に投稿するための準備を進めた。また、成果の一部を取り入れた文章が学会誌に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
延長が認められた本年度は、新型コロナウイルス感染症が収束しつつあるなかで本研究の中心的な調査を進めることができたが、昨年度までの遅れを取り戻すことはできなかったため、研究全体の進行に遅延が生じている。特に、研究全体の進行に遅延が生じている理由としては、次の3点が挙げられる。 第一に、新型コロナウイルス感染症が収束しつつあるなかで、空襲の被災地域で行われた空襲に関わる各種行事に対して現地でのフィールドワーク調査を実施することができた。しかしながら、調査が可能な対象の数が限られていたため、十分な数の調査を実施することはできなかった。 第二に、本研究期間に行った調査で得られた資料の整理・分析を進めることができた。しかしながら、オンラインで行った調査で得られた資料と対面で行った調査で得られた資料をそれぞれ整理して分析可能な状態にするまでには相当な時間が必要となった。 第三に、本年度も昨年度に引き続き研究以外の各種業務に多くの時間を要することになり、研究のために十分な時間を確保することができなかった。 以上の点から、本研究の進捗の遅れは、主として新型コロナウイルス感染症の影響で生じたものであり、やむを得ないものであると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後(延長が認められた1年)は、必要に応じて補足的な調査を行いながら、昨年度までに行った調査で得られた資料の整理・分析を進め、本研究全体の成果をまとめていく。具体的には、次の4点において調査研究を進めることを予定している。 第一に、昨年度までに行った調査をふまえて、空襲の被災地域で空襲に関わる市民活動を進めている非体験世代の活動者に対して、補足的な調査を進める。特に、可能な範囲でコロナ禍では調査が難しかった活動者に対するインタビュー調査を進める。 第二に、昨年度までに行った調査をふまえて、空襲の被災地域で行われている空襲に関わる各種行事に対して、補足的な調査を進める。特に、新型コロナウイルス感染症が収束してきたことにより、被災地域では空襲に関わる各種行事が対面で行われるようになっているため、そうした行事に対するフィールドワーク調査を進める。 第三に、昨年度に引き続き、本研究全体の枠組みとなる記憶に関する社会学的な研究の枠組みについて検討する。特に、記憶と語り(ナラティブ)に関する研究の動向について検討する。 第四に、以上の調査を行いながら、調査を通して得られた資料の整理・分析を進め、その成果を学会で報告するとともに論文として学会誌に投稿する。
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