研究課題/領域番号 |
20K13700
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 熊本大学 (2021-2022) 福岡県立大学 (2020) |
研究代表者 |
吉武 由彩 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 准教授 (70758276)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 献血 / 贈与 / 共同性 / 匿名 / 社会的連帯 |
研究開始時の研究の概要 |
近年献血者数が減少する中、研究が少ない献血を取り上げ、献血者における贈与と共同性の論理について実証的に研究することを目的とする。献血を促すものとして、互酬性の意識、返礼期待、コミュニティ意識、受け手の想像などに着目し研究するとともに、献血の規定要因の分析を行い、献血行為の成立要件の検討を行う。さらに、献血の特徴である匿名性を意識しながら、匿名他者との連帯形成のための要件についても検討する。
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研究実績の概要 |
本研究は、近年の献血者数の減少を背景に、献血者における贈与と共同性の論理について実証的に研究することを目的とするものである。さらに、献血行為の実証研究を通して、匿名他者との連帯形成のための要件についても検討することを目的としている。2022年度の研究実績の概要は以下の通りである。 第1に、献血者への聞き取り調査のデータをもとに、どのようにして献血を重ねるようになったのか、生活史の観点から分析を行った。献血者の生活史分析については、書籍の一章分として発表した(『社会の変容と暮らしの再生 シリーズ生活構造の社会学2』「献血者の生活史からみえてくるもの――匿名他者への贈与の生成過程」)。 第2に、献血とは匿名他者への贈与行為であることから、匿名性、贈与に関する先行研究を整理し、概念的な検討を進めるとともに、これまでの献血に関する実証研究をとりまとめて書籍として刊行した(『匿名他者への贈与と想像力の社会学――献血をボランタリー行為として読み解く』)。 第3に、来年度実施予定の量的調査に向けて、献血やボランタリー行為に関する既存の量的調査研究の整理と質問項目の検討を行った。こうした検討に基づき、来年度量的調査を実施予定である。 第4に、文献等の整理を行い、日本における血液事業の歴史や輸血によるウイルス感染の問題、ウイルス検出・除去技術についてまとめた。上記の内容は来年度書籍として刊行予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は、献血者の生活史分析を行い、書籍を刊行した。加えて、これまでの献血に関する実証研究をとりまとめるとともに、献血を匿名他者への贈与行為という観点から分析し、書籍として刊行した。上記のように研究を進めており、その成果を公表している。以上より、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、第1に、献血だけでなく、同様に匿名他者への贈与行為とみなすことができる諸行為について文献検討や調査を行う。その中で、匿名他者への贈与行為の中でも、献血の特徴を検討する。第2に、献血やボランタリー行為に関する量的調査を実施する。献血に関する既存の量的調査が少ないことから、本研究において実施し、献血の規定要因や献血者の意識構造の分析を行うことを予定している。加えて、量的調査においては、献血がほかのボランタリー行為とどのような点が異なるのか、分析を行う。
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