研究実績の概要 |
2022年度は、以下の3点に代表される観点からその足掛かりをつかみ、整理していくことを目指してきた。 第一に、「対象に向き合う際に求められる社会学的理解を備えた支援者の存在」に着目し、障害のある調査者を対象とした質的調査を昨年度から継続して実施した。また、障害者の活動を支える支援者を対象とした質的調査、障害者の活動の参与観察を通じて研究に取り組んできた。くわえて、視覚障害者の同行援護事業に着目し、支援者育成過程で何が配慮されているか、同行援護事業従事者の工夫や考えなどについて参与観察・聞き取りを実施し、既に確立している福祉サービスとの比較を通じて、社会調査などの活動実践において、特に留意すべき点や配慮が必要となりうる点を相対的に検討、整理を進めている。 第二に、「調査に伴って得る多様な学術的情報のアクセシビリティの保障」の観点から 、情報が特定の形態で示されることと情報のアクセスとの関連について検討を進め、Y., Matsuzaki, K., Shibata (2023a)や松崎, 柴田(2023)に成果をまとめることができた。また、より学術的な内容を取り扱う情報に関しては漢字が与える影響が大きいことへの気づきから、その課題を整理し、Matsuzaki, K., Shibata (2023b)に整理している。 第三の「調査者の自立と主体を尊重した支援の実現」の検討を目指し、実践的な取り組みを通じて分析・検討を行ってきた。こちらの成果については、松崎(2022)で着眼するポイントを整理し、Y., Matsuzaki, W., Hamamatasu, S., Egashira, K., Shibata (2023)やY., Matsuzaki (2023)で報告されている。
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