研究課題/領域番号 |
20K13730
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分08020:社会福祉学関連
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研究機関 | 熊本県立大学 |
研究代表者 |
西森 利樹 熊本県立大学, 総合管理学部, 准教授 (30795860)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 成年後見制度 / 独居・低所得者 / 公的後見制度 / アメリカ公的後見制度 / 権利擁護 / 社会福祉 / 社会保障法 / 高齢者福祉 / 成年後見 / 低所得者 |
研究開始時の研究の概要 |
判断能力が不十分な者に対する意思決定支援は本人の財産の多寡に関わらず必要である。本研究は、低所得者に対する公的な意思決定支援システムとして公的後見制度に着目し、特に、アメリカ公的後見制度の研究を行うことを通じ、日本において公的後見制度を導入する際の検証課題を明らかにすることを目的とする。本研究では、主に、文献研究の方法により、アメリカ公的後見制度の詳細を検討し、特に、公的後見制度の提供体制のあり方および提供機関相互間の法的関係を中心として検討を加える。 以上の検討を通じ、今後、日本において公的後見制度の導入を検討する際に必要とされる検証課題を明らかにし、制度導入の可能性を探る。
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研究実績の概要 |
本研究の目的はアメリカ公的後見制度の研究を通じ日本において公的後見制度を導入する際の検証課題を明らかにすることにある。公的後見制度の課題として制度の財源確保があり、フロリダ州は障害者を対象とした共同特別ニーズ信託を運用し、その残余財産を公的後見制度の財源に充当するといった信託の仕組みを利用し制度の財源確保を図っている。他方、日本ではフロリダ州と同様の公的後見制度等は未整備であるものの、障害者を対象とする特定贈与信託がある。特定贈与信託は障害者の生活の安定のための信託であり、家族等が委託者となり特定障害者を受益者とし、受託者を信託会社として設定されるものである。信託財産は金銭、有価証券その他の財産である。この信託は受益者の死亡等により終了するものの、特定贈与信託の残余財産を資力が不十分な高齢者に対し成年後見を提供する団体(社会福祉協議会等)へ寄付することが可能であり、そうした方法により、フロリダ州公的後見制度共同特別ニーズ信託と同様の機能を一部果たすことが可能であると考えられる。 公的後見人はアメリカ公的後見法においては後見人の選択の一類型である。公的後見人を含めた後見人の適正化のための検討課題を明らかにするためアメリカ成年後見法における後見人の要件に関する改正動向を検討した。2013年から2021年までの9年間において改正等をした州は全部で23州であり、主に、後見人の適格者(裁判所による選任)、後見人の基準と研修、後見人の認定・免許、後見人の身元調査などについて改正が続けられていた。アメリカにおいても適切な成年後見人をどのように確保するのかは課題となっており、成年後見人の認定プログラムや研修、選任時の身元調査の方法などを制度を発展させながら成年後見人の質の確保が図られていた。こうした動向は今後の日本における適切な成年後見人の選任のあり方を検討する上で示唆となり得る。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウィルスの感染拡大により国内外の出張が困難となったことにくわえ、感染拡大防止の対応が継続的に求められたことにより、当初予定した研究活動を遂行することには困難が伴った。 しかし、国内において収集及び検討が可能であった文献の検討については行うことができ、アメリカにおける公的後見制度の財源確保のあり方と日本における特定贈与信託との比較検討や、アメリカ成年後見法における成年後見人の要件の改正動向などを明らかにすることができた。 また、オンラインによる国際シンポジウムに参加し、本研究の課題に関しても諸外国の研究者等の専門家と議論することにより研究を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
アメリカ各州において課題となっているように、公的後見制度の財源確保のあり方に関しては、フロリダ州の取り組み内容をさらに掘り下げていくことにくわえ、他州の取り組みに関しても今後さらに検討を続ける。例えば、2017年に制度改正をしたコロラド州における財源確保の仕組みなどを検討し、わが国への示唆を得たい。 公的後見制度の提供体制がどうあるべきかに関する検討も今後さらに必要になる。社会福祉機関モデルが主流であるなかで近年改正等をしたネブラスカ州やコロラド州が裁判所モデルを採用した点は興味深く、その点の詳細に関して検討したい。また、提供体制に関連しては、公的後見人の不正などを発端とし、フロリダ州において成年後見制度の大改正に向けた動きが進んでいる。また、各州においても成年後見人の適正化を図るための改正がなされている。そうした動向の詳細に関しても検討し、わが国における公的後見人を含めた成年後見人の要件のあり方に関する法制度の構築に向けた示唆を得たい。 研究実施にあたっては、国内外の文献の収集と精査を続けるほか、国内外の出張を伴う研究活動の可否について検討する。ただし、世界的にオンラインの手法が大きな広がりを見せていることから、必ずしも海外渡航のみに限ることなく、オンライン研究会や国内にいながら情報を収集する方法について検討しつつ、現状において最大限の研究の進捗を図るよう取り組む所存である。
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