研究課題/領域番号 |
20K13734
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分08020:社会福祉学関連
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
天畠 大輔 中央大学, 社会科学研究所, 客員研究員 (80866947)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 重度訪問介護 / 介助付き就労 / 就労支援特別事業 / 重度身体障がい者 / 自薦ヘルパー / 当事者事業所 / 自薦へルパー / 発話困難な重度身体障がい者 / 福祉経営論 / コンシューマリズム |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、重度訪問介護を利用しながら自ら介助者派遣事業所(以下、当事者事業所)の運営を行う重度身体障がい者に注目し、様々な形態の事業所運営を分析することを通して、当事者による福祉経営論を論じる。申請者自身が当事者事業所の運営に携わっているため、サービスプロバイダーかつ利用者として、介助者を間に挟む形で介助する/される関係がぐるぐると回転しており、従来の社会福祉学が想定していたような一方通行のものではないことを強く実感している。そうした、経営者側と利用者側双方のあり方をコンシューマリズム(利用者主権主義)を軸に整理することで、重度身体障がい者の新たなライフコースを提案することを目指す。
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研究実績の概要 |
今年度は2022年に出版した『しゃべれない生き方とは何か』(生活書院)が社会福祉学会奨励賞を受賞し、本研究が一定の評価を得たことに安堵したのと同時に、研究価値を再認識するに至った。 本研究は立命館大学立岩真也教授(2023年没)の指導の賜物であり、その立岩先生が生涯をかけて取りくまれた生存学の発展に、本研究の成果を還元していくべきという考えから、生存学研究センターとのネットワーク構築に力を注いだ。特に、重度障がい者の生存保障という観点から、2019年京都ALS嘱託殺人事件の裁判経過のフォローや、「安楽死」に関するメディア調査を行った。 当事者事業所に関しては、当事者3名とサービス提供責任者2名に対して調査を実施し、以下の点が明らかとなった。①24時間介助が必要な重度障がい者が地域で一人暮らしをするにあたっての調整コストの大きさ②その調整コストをサービス提供責任者に分散できるかで、当事者の負担が大きく変わる③その負担は当事者の生きる気力を奪うこともあるほど大きい。特に、発話障がいなどにより、明確に指示を出すことが難しい当事者にとってこの問題は、より切実である。 インタビューに並行してバリアフリー調査も実施した。調整コストの内には、介助を伴う外出における交通費(介助者分の負担が生じる)やバリア(物理的バリア、心理的バリア)の存在も挙げられる。依然、あらゆる方向から障がい者を内に閉じ込める力が社会的に残っていることが浮き彫りとなった。 生存保障の一端を担う、障がい者就労については一般社団法人「わをん」の研究プロジェクト、「24時間介助が必要な重度身体障がい者の就労にむけた実現戦略――介助付き就労を阻む社会システムの合理性を運動論から問いなおす」と協働する形で『介助付き就労学習会』の実施や『介助付き就労実態調査報告書』の刊行に参画した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
引き続き、参議院議員としての議員活動と並行しての研究活動であったため、十分な時間を研究にあてることは難しかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後も生存学、障害学の観点から、当事者事業所という装置を活用した重度障がい者の生存保障について研究を継続する。 自立生活の鍵を握る、サービス提供責任者の存在について、考察を深めるためにインタビュー調査を実施する。 さらに自立生活を阻むものの一つとして移動のバリアにより着目して調査研究を続ける。
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