研究課題/領域番号 |
20K13769
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分08020:社会福祉学関連
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研究機関 | 旭川大学 |
研究代表者 |
任 賢宰 旭川大学, 保健福祉学部, 准教授 (50827954)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 認知症の人 / 家族介護者 / 介護の過程 / 心理的支援 / 小規模多機能型居宅介護 / 介護過程 |
研究開始時の研究の概要 |
先行研究では、小規模多機能型居宅介護が認知症の人を支える家族介護者への心理的側面を含む支援に有効であることが明確になっている。しかし、この結果は専門職を対象としているため実際に認知症の人を支える家族介護者の意見を反映しているとは言い難い。また、量的研究が全国の小規模多機能型居宅介護事業所の専門職を対象としているのに対し、質的研究は限定された地域の結果でその結果が偏っているともいえる。 そこで、認知症の人を支える家族介護者への心理的側面を含む支援に関する有効性を検証するために小規模多機能居宅介護における専門職を対象に質的研究を行い認知症の人を支える家族介護者を対象に量的研究及び質的研究を行う。
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研究実績の概要 |
認知症の人を支える家族介護者への心理的側面を含む公的支援システムの基盤構築を図るための基礎研究で、小規模多機能型居宅介護(以下、小多機)の仕組みが有効で、家族介護者を対象とする新たな公的支援システムの必要性が提示された。この先行研究を踏まえた小多機の専門職を対象とした調査研究(JP18H05722)では、小多機における家族介護者の心理的側面を含む支援が有効であることを示した。 令和4年度は、上記の先行研究を踏まえて「認知症の人を支える家族介護者の介護サービス、とりわけ小多機の利用状況に対する把握及び介護過程における心理的変容と親密性、共依存の関係を分析的に図式化」を目的とする。 この目的を達成するためにまず、コロナパンデミックにより延期となっていた、「小多機における心理的側面を含む支援の取り組みを深層的に把握」のために、①小多機事業所18ヶ所の専門職18名を対象に2022年10月から12月までの期間にインタビュー調査を行った。調査は、専門職の客観的観点から認知症の人と家族介護者のサービス利用と心理的変化、認知症の人と家族介護者の支援や有効性等を専門職の実践体験から自由に語ってもらうようにした。 また、「認知症の人を支える家族介護者の介護サービス、とりわけ小多機の利用状況に対する把握及び介護過程における心理的変容と親密性、共依存の関係を分析的に図式化」を図るために、②認知症の人を支える家族介護者の当事者組織である「公益社団法人認知症の人と家族の会」の5支部の会員30名を対象に郵送調査を行い、10名(有効回答率33%)から回答を得られた。 現在、上記①②の調査結果をもとに分析を行っており、研究成果については学術学会での発表と学術論文として報告する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、調査研究(JP18H05722)の継続研究で、認知症の人を支える家族介護者への心理的側面を含む公的支援システムの基盤構築を図るための基礎調査として、①小多機における心理的側面を含む支援の取り組みを深層的に把握と、②介護サービスとりわけ、小多機サービスの利用状況の把握及び介護の過程における心理的変容と親密性と共依存の関係性を分析的に図式化すること、③①②の結果をもとに、とりわけ小多機サービスを利用する認知症の人を支える家族介護者への心理的側面を含む支援に関する有効性の検証を目的とする。 上記の目的を達成するために、令和2年度は小多機事業所の専門職を対象にインタビュー調査を、令和3年度は認知症の人を支える家族介護者の当事者組織である「公益社団法人認知症の人と家族の会」の会員を対象にアンケート調査を計画した。しかし、全世界にわたるコロナパンデミックにより、調査対象が高齢者関連機関のことから調査自体が困難で、前年度の調査研究は見送られ、令和4年度からの実施となった。そこで令和4年度は、①「小多機における心理的側面を含む支援の取り組みを深層的に把握」するために、小多機の専門職を対象とするインタビュー調査について電話や書面を用いて再依頼し、10月から12月にわたって対面およびオンラインによるインタビュー調査を実施した。 また、②「認知症の人を支える家族介護者の介護サービス、とりわけ小多機の利用状況に対する把握及び介護過程における心理的変容と親密性、共依存の関係を分析的に図式化」を図るために、認知症の人を支える家族介護者の当事者組織である「公益社団法人認知症の人と家族の会」の全会員を対象にアンケート調査を予定していたが、対象組織の代表及び研究委員会と協議の上、全会員を対象とすることは困難と判断し、対象組織の研究委員会にて指定された一部の会員にアンケート調査を実施した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の目的を達成するために令和5年には、「認知症の人を支える家族介護者の介護サービス、とりわけ小多機の利用状況に対する把握及び介護過程における心理的変容と親密性、共依存の関係を分析的に図式化」について、①実際に小多機サービスを利用する家族介護者を対象にアンケート調査を行い、②アンケート調査からインタビュー調査の承諾が得られた家族介護者に対してインタビュー調査を行う。また、③諸外国の専門職を対象にインタビュー調査を行い、すべての研究成果をもとに認知症の人を支える家族介護者への心理的支援の有効性を検証する。 まず、①実際に小多機サービスを利用する家族介護者を対象にアンケート調査では、先行研究(課題番号JP18H05722)のアンケート調査において回答が得られた488ヵ所の小多機事業所を利用する認知症の人を支える家族介護者を対象に郵送調査による量的研究を行い、認知症の人を支える家族介護者への心理的側面を含む支援の有効性を検証し図式化を図る。 次に、②小多機サービスを利用する家族介護者へのインタビュー調査では、①のアンケート調査からインタビュー調査への同意があった家族介護者に対しインタビュー調査を行う。 最後に、③諸外国の専門職を対象にインタビュー調査では、「認知症の人を支える家族介護者への心理的側面を含む支援」について諸外国の専門職を対象にインタビュー調査を実施し、これらすべての研究成果をもとに認知症の人を支える家族介護者への心理的支援の有効性を検証し、研究成果を学会発表及び学術論文として報告する。
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