研究課題/領域番号 |
20K13777
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分08020:社会福祉学関連
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
加山 弾 東洋大学, 社会学部, 教授 (20440000)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 社会福祉法人 / 地域公益事業 / 地域における公益的な取組み / 社会的孤立・排除 / 地域共生社会 / コミュニティソーシャルワーク / 社会的孤立 / 地域福祉 / 地域生活課題 / 社会福祉協議会 / 地域公益事業/活動 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、複数の社会福祉法人の連携による地域公益事業の実践形態および課題について明らかにし、新しいコミュニティソーシャルワークとしての機能や課題について整理するものである。このために、国内の先進的な取り組みについて事例分析すると同時に、全国の法人に対して量的調査を行う。 また同時に、社会福祉法人による自発的な取り組みが模索されはじめた1970年代以降の実践・政策およびその理論化の経緯を整理する。 さらに、コミュニティソーシャルワークのルーツであるイギリスとの比較調査を行い、双方への示唆を導く。 これらを通して、社会福祉法人による地域公益事業に関する政策・実践・理論への示唆を導く。
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研究実績の概要 |
2022年度は、①前年度末に実施したアンケート調査の集計・分析、②先進的な事例の視察・ヒアリング、③文献調査、④論文・研究ノートの執筆を行った。 ①について、東京都・滋賀県・青森県の社会福祉法人(地域公益活動のネットワークに所属している法人)を対象に実施したWebアンケートの結果を集計し、統計的な集計・分析を行った。単に量的な分析を行うのでなく、②の結果もふまえて多角的に行っており、調査報告書にまとめるための作業を進めている。 ②について、地域における公益的な取り組みで先駆的な実践を行う2法人を視察し、ヒアリングを行った。訪問先は社会福祉法人わらしべ会と社会福祉法人ほくろう福祉協会である(いずれも札幌市に所在)。わらしべ会は、ハンガリーのCE理論(機能面でなく社会生活・自己実現に着目する障害者サービス)を採用し、「地域で暮らすための生活支援」の一環で地域向けの活動を行っている。地域食堂、専門性を活かした研修会、学習支援、地域のサークルの活動場所の提供などである。ほくろう福祉協会は、法規定による「公益事業」「地域公益事業」と法外の「自主活動」「社会貢献活動」を4つのフェーズで区別し、体系的に実践している点で類例のない事例である。また、地元町会との関係を重視し、町会のサロン活動、会議、夏祭りなどに施設のスペースを提供し、互恵的な関係を構築している。 ③では、このテーマで発表された著書、学術論文、行政文書等を収集し、論点を整理している。本研究の目的の一つである、現在の地域公益活動と、その原型である初期の活動を架橋する政策・実践・研究について紐解くための質的分析を続けている。 ④では、上記の3つを進めながら、学術誌・紀要への論文・研究ノートでの発表を行った。具体的には、学術論文3本、研究ノート1本である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の計画にあたり、3つの研究目的を掲げた。そのいずれもがまだ途上にあると考えている。 第1の研究目的は、「実践・政策への貢献」であった。2年度目にアンケート調査を行ったが、その結果をふまえ、普遍的な理論枠組みとして貢献するには知見としてまだ不十分である。また、国が掲げる地域共生社会政策の柱に、重層的支援体制整備事業(自治体による任意事業)があり、本研究のテーマである社会福祉法人による地域公益活動はその一翼を担うことが期待されているが、同事業がまだ導入2年目であり、実施自治体も年々増加しているところであって、各自治体の実施状況をみきわめながら本研究として何が提起できるかを検討しているところである。 第2の研究目的は、「研究への貢献(その1)」であった。社会福祉学においてこのテーマはまだ緒についたばかりではあるが、本研究としては、上述の通り、まだ十分な知見でない。また、歴史的な検証もまだ十分と言えない。これらについて、他の研究者との議論や意見交換が必要だと考えている。そのためのプラットフォームや、成果物としての著書の刊行などをさらに考えていきたい。 第3の研究目的は、「研究への貢献(その2)」である。イギリスとの国際比較を予定しているが、コロナ禍により、計画していた現地視察が実現していない。なお、カウンターパートとなる現地の研究者とは連絡を取り合っており、共同執筆による著書をイギリスの出版社から刊行することができた。
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今後の研究の推進方策 |
上記の3つの研究目的に沿って引き続き研究を進めるつもりである。 第1の「実践・政策への貢献」では、重層的支援体制整備事業を筆頭に、地域共生社会政策の進展において社会福祉法人の果たし得る役割について実証的に研究していく。そのために文献調査、先進事例の視察・ヒアリングなどの調査を続けたい。 第2の「研究への貢献(その1)」では、主に社会福祉学領域でこのテーマで研究している研究者たちとのプラットフォームづくりをめざし、シンポジウムや共著書の刊行をめざしたい。 第3の「研究への貢献(その2)」については、イギリスへの訪問、視察・ヒアリング、共同研究の実現に向けた協議に取り組みたい。
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