研究課題/領域番号 |
20K13803
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分08030:家政学および生活科学関連
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研究機関 | 滋賀県立大学 |
研究代表者 |
横田 尚美 滋賀県立大学, 人間文化学部, 教授 (40751409)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2020年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 仕事着 / 民俗服飾 / つぎはぎ / ボロ / リユース / サスティナブル / 衣生活 / 女性の暮らし / 服飾文化 / 服装史 / 日本民俗学 / 女性のくらし |
研究開始時の研究の概要 |
2018年秋に、滋賀県犬上郡多賀町の山あいの集落から、200点を超える衣生活資料が発見された。この中には、欧米で「BORO」と呼ばれ、高額で取引される藍色の衣類が数多く含まれている。これらは、刺子や裏の当て布の配色が美しい。手織の苧麻で作られた服もある。着物の袖にカフスをつけるなど、工夫の面白い衣類もある。 「BORO」が、21世紀にまとまって見つかったことは驚きだが、一家族のもので、少なくともいつ頃まで着られていたかということがはっきりしていることには大いに価値がある。 本資料を整理し、調査分析し、展覧会を開催したり、書籍化したり、町や県の文化財登録につなげることに貢献したいと考えている。
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研究実績の概要 |
2023年度も、授業として当該資料の調査や整理を行ったが、11月になるまで所有者の健康状態が相変わらず良くなく、ほとんど連絡を取ることもできず、なかなか作業が思い通りに進まなかった。11月に急速に健康状態が良くなり、その後はやっと連絡が取りやすくなったが、すでに年度としては期間が残り少なかった。授業としては引き続き、採寸、当て継の状況の把握、写真撮影などを実施した。特に、今年度としては何重に継が当てられているかを確認する作業を行った。当て継の状況把握にためのビニールシートが予想外に高額なため、なかなか思ったように購入することができなかった。 5月27日に、日本家政学会第75回大会で、「着継がれた下衣を読むー滋賀県湖東山間部の衣生活資料からー」について、口頭発表を行った。本資料の中でも股引が、どれほど当て継されているかを詳細に調査した結果を報告した。現状では、もっとも多いもので9重にも継が当てられていた。改めて、衣類がいかに大切にされていたかについて実感した。 10月2日から奈良の帝塚山大学附属博物館開催の「のらぎー風土が育む日常のおしゃれー」展に、本資料の一部が展示されることになり、その借用のために9月に、この館の学芸員とともに所有者の元を訪ねた。これが、10カ月ぶりの所有者との再会だった。同展での関連講座を依頼され、この中でも本資料についても紹介した。 12回の連載を共同通信から依頼され、その中でも本資料を紹介した。12月から配信され、年明けから地方紙10紙ほどで連載されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
大きな理由は、コロナの流行である。授業を進めることも、所有者の家に行くこともしばらくの間、叶わなかった。 それに加え、所有者の健康状態が非常に悪くなったことがあった。これには、所有者の母親が亡くなったことが大きく、長い間、連絡が取れなくなってしまった。そのため、調査がストップしてしまった。 さらに、調査に使用するビニールシートが高額で、予想以上に出費がかさみ、一時、購入を中断して、素材探しをしていたという事情もある。
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今後の研究の推進方策 |
できる限りの点数の資料の調査を行いたい。そして、それについて簡単なものでも良いので報告書を出したいという希望は変わっていない。ただし研究費が残り少ないので、今年度中は主に調査のために残りの研究費を使い、来年度に報告書を出したいと考えている。所有者の健康状態が悪くなると調査も中断してしまうため、所有者の健康を願うばかりである。
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