研究課題/領域番号 |
20K13846
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
ハス ゲレル 東京都立大学, 人文科学研究科, 助教 (50720017)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | モンゴル民族 / 言語教育 / 民族教育政策 / 1950、60年代のモンゴル民族学校 / 文化継承 / 次世代育成 / 中国モンゴル民族教育 / 学校統廃合 |
研究開始時の研究の概要 |
中国では、2001年から2012年の間に学校統廃合が進められ、多くの地方の学校が都市に統合された。内モンゴル自治区でも同じく学校統廃合が行われたが、近年都市に統合された地方の学校が再建される動きがある。本研究では、都市のモンゴル民族小中一貫校と地方の再建されたモンゴル民族小学校の現場はどのような状況なのか、それを確認するために、調査をおこない、現在の実態を把握する。また、地域住民はいかに民族アデンティティを取り戻し、文化が継承されているかを明にし、直面している問題点も提示する。
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研究実績の概要 |
2023年9月に内モンゴル自治区における民族教育には大きな教育改革が行われた。そのひとつは、モンゴル語以外のすべての教科の教授言語がモンゴル語から漢語になった点である。モンゴル語をひとつの教科として週に3~5コマの勉強するのみになった。もうひとつは、学校名称から「民族」という文字が消えた。たとえば、「A市蒙古族学校」という学校が「A市第三小学」へと名称変更された。地域によって多少異なる点はあると思われるが、多くの地域では上記の2点の改革があった。これによって、子ども、教員や保護者の負担が増えた。漢語が苦手な子どもにとっては、漢語の授業や他の教科の勉強が難しくなり、週末に塾に通うなど、学習への負担がみられる。また、漢語が不得意な教員の授業準備への負担や、保護者が放課後に宿題の手伝いができなくなるなど、多くの課題が残されている。 そのひとつの動きとして、放課後サービスである「小飯卓」(子ども食堂)に通わせている保護者も増えている。「小飯卓」では、主に昼と夜の食事提供、昼寝や宿題をするスペースを提供している。2024年3月に調査した「小飯卓」は小学校から徒歩で通うのが難しい距離だったため、経営側がバスで送り迎えをしている。ここは、遊牧民の子どもが多く通っていて、両親が家畜業で忙しいため、祖父母が孫のお世話している子どもが多くいた。祖父が朝昼晩の3回の送り迎えが負担になることや、漢語で宿題の手伝いが難しいなどが原因である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症や2020年の9月からの民族教育政策の変化により、現地調査の実施が難航している。2023年度からはコロナが落着き、海外調査も可能になってきたが、9月から民族学校のすべての教科の教授言語がモンゴル語から漢語への変更があり、政府との緊張関係があるため、学校関係者への調査が難しくなっている。
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今後の研究の推進方策 |
内モンゴル自治区の民族教育の教授言語が漢語になるにつれて、民族学校の調査が難しくなったため、今後は「小飯卓」(子ども食堂)を中心に調査を行う予定である。2024年3月に調査したA市の「小飯卓」は遊牧民の子どもが多く通っていた。今後もA市の周辺化された人々(遊牧民)の動きに注目し、研究を継続する予定である。その他にも、都市部の「小飯卓」への調査も実施する予定である。
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