研究課題/領域番号 |
20K13870
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
|
研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
羽山 裕子 滋賀大学, 教育学系, 准教授 (20737192)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
|
キーワード | 知的障害 / カリキュラム / accommodation / modification / alternate assessment / 教育目標・評価 / アメリカ合衆国 / 配慮 / NCEO / 教育課程 / 障害児教育 / アメリカ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、学校教育の適切な実施を支える目標‐評価システムの中に、知的障害のある児童生徒がどのように位置づけられるべきなのかについて、アメリカ合衆国での理論的蓄積を分析することで検討していく。具体的には、障害のある子どもの教育評価について研究を行っているNational Center on Educational Outcomeの報告書類を分析することで理論的枠組みを見出し、その後、実際に各州レベルでのスタンダードや州学力テストにおいて障害のある子どもへどのような配慮が行われているのかを概観することで、理論枠組みを再考する。
|
研究実績の概要 |
2023年度は①インクルーシブ教育推進期のアメリカにおける、カリキュラムや教育評価における支援・配慮に関する論点整理を行い、②NCEO研究開始初期の各州の報告書分析に着手した。 ①については、昨年度後半から取り組み始めた内容の仕上げ作業を行い、2024年度前半に学会での課題研究発表を行った。NCEOの研究活動が開始された1990年代は、アメリカ合衆国においてインクルーシブ教育が本格化した時期でもある。このインクルーシブ理念をカリキュラムレベルで実質化するにあたっては、NCEOの教育評価研究で模索されたような、配慮(accommodation)の提供や代替的な(alternate)内容への変更が重要な役割を果たしており、さらにこの両者の中間的な対応である、修正(modification)も用いられていた。教育評価と日常的なカリキュラムの選択・実施とは、異なる教育活動ではあるが連続性のある活動でもある。このことは、実施される支援や配慮が共通する視点や枠組みを持つと再確認できたこととも整合性がある。 ②については、特に研究初期の時点で州単位での報告書を残している州のうち、まずはNCEO所在地であるミネソタ州を除いた州の分析に着手した。分析にあたり、報告書の有無や量などについては、2020年度の研究発表の中で作成した、報告書分類を参考にした。②は年度内には作業が完了していないため、発表は行っていない。作業の過程での発見として、州単位の報告書は調査の対象や枠組みに統一感が見られず、NCEO本体の研究方針に比較的近い研究調査を実施・報告している州もあれば、教育評価改革一般について調査しているものの、障害児教育の視点が乏しい報告も見られることが確認されている。このようなばらつきが生まれた要因や、これら報告書類がNCEO本体の研究に与えた影響については、引き続き分析を進める必要がある。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究は2023年度が完成年度であったが、①対象資料の分析が完了していないこと、②分析途中で成果発表に至っていない内容があることから、研究期間延長を希望することとなった。この点より、「遅れている」と判断した。 遅れが生じた原因としては、過去の報告書類でも言及している通りであるが、新型コロナウィルス流行により出張が制限されたことと、流行に伴う学内業務の変更によって研究時間が想定を大幅に下回ったことが挙げられる。また、2023年度に遅れを取り戻せなかった要因としては、上記要因の一部が継続していることに加えて、業務の都合上、本研究とは直接関係しない共同研究および原稿執筆が必要となったことが挙げられる。
|
今後の研究の推進方策 |
2024年度は、①2023年度に取り組み始めた内容を継続することと、②研究完成に向けて、2020年度以降の各年度の研究成果を論理的に接続することが目標である。 ①については、州単位の実態とNCEOの研究活動との関係を検討する中で、各州での取り組みに関する資料の追加収集が必要になる可能性もある。そのため、年度前半に①に優先的に取り組み、収集のための臨時での出張を実施できる余地を残したい。 ②については、成果の一部が口頭発表用のプレゼンテーション資料として蓄積されており、論文化されていないことから、まずは文章化する作業に注力する。その過程で、論文として発表可能な部分については、論文化する可能性も模索する予定である。
|