研究課題/領域番号 |
20K13889
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
亀口 まか 龍谷大学, 文学部, 准教授 (10554082)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 学齢児童 / 放課後 / 女性労働 / 社会事業 / 勤労動員 |
研究開始時の研究の概要 |
親が働く学齢期の子どもを対象とした保育・教育は、戦前から取り組まれてきた課題である。しかし、その歴史的な解明はそれほど進んでいない。申請者は、学齢期の子どもの保育の歴史について、女性の労働が歴史的にどのように位置づけられてきたのかという視点から検討する必要があると考える。 本研究では、既婚女性を含めた女性の勤労動員が強化されていった戦時期を検討の対象に置き、この時期の学齢期保育の展開を、複数の地域の資料調査を中心として実証的に明らかにする。具体的には、①戦時期における学齢期保育の実態の解明、②戦時女性労働政策の動向からみる学齢期保育の議論・政策の再検討、③戦時期の事業の歴史的特質の提示を行う。
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研究実績の概要 |
今年度は、地域婦人会について、愛知県地域婦人団体連絡協議会にて資料調査を行った。また、前年度に収集した資料をもとに分析、考察を進め、その成果を論文、学会発表を通じて公表するとともに、領域横断的な研究会を行うことにより、本研究の枠組みである女性労働と社会教育政策、実践の歴史と現在について検討を深め、今後の研究の課題を明確にすることができた。 研究成果の公表についてまず論文では、「女性労働と児童保護の視点からみる1944年保護者不在家庭児童調査の成立過程」(『社会教育学研究』第58号、2022年6月)において、戦時の社会教育政策として勤労動員による保護者不在家庭を対象とする放課後生活を支える社会事業が実施されていった経緯を考察した。また学会発表では、「教育・学習課題としての女性労働」(日本社会教育学会・韓国平生教育学会「第13回日韓学術交流研究大会」於:韓国放送通信大学、2022年10月28日)において、ジェェンダー平等社会の実現に資する女性労働に関する教育・学習の課題を発見するという問題意識のもとに、戦時期日本の女性労働政策・社会教育政策としての放課後支援の取り組みについて報告した。 研究会については、「労働・家族にかかわる社会教育政策・運動・実践の歴史をとらえる――活動を担ってきた人々の声や記録から描き出すことの意味とその方法を探る」(2022年8月26日開催)をテーマとして、永岡崇氏を講師として、永岡氏の著書『宗教文化は誰のものか――大本弾圧事件と戦後日本』(名古屋大学出版会)で示された協働表象としての「読みの運動」という考え方、方法論について学んだ。また、女性労働・ジェンダーと社会教育活動についての研究交流会(2022年8月27日開催)において、ジェンダー・セクシュアリティの視点から実践と研究を架橋する取り組みとその課題について検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、分析、考察を行った研究成果の一部について、論文、国際学会の場で公表することができた。また、領域横断的な研究会の実施によって、今後の研究の方向性、方法論について探求することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、本研究で明らかにしつつある戦時期における学齢期保育の実態、議論・政策の動向をふまえ、戦時期の事業展開が、戦後はどうなっていくのかを検討する。具体的には、高度経済成長期前後の女性労働の状況と国が打ち出した放課後対策の動向について、前年度から資料調査並びに関係者への聞き取りを開始してきている地域婦人会の活動とのかかわりを手掛かりに明らかにすることを計画している。最終年として、教育・福祉・労働等の先行研究を領域横断的に検討し、その流れのなかに女性労働と子どもの育ちに関する社会教育政策を歴史的に跡づける本研究の成果を位置づけることにより、今後の研究課題を提示することを目指す。
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