研究課題/領域番号 |
20K14008
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
藤原 智也 愛知県立大学, 教育福祉学部, 准教授 (50737822)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ポリティカル・アート / 市民性教育 / 美術教育 / 再帰性 / 現代アート |
研究開始時の研究の概要 |
ポリティカル・アートでは、現代社会論的な問題(グローバル化、格差化貧困化、包摂と排除など)との同時代性の中で、機能不全となった市民の主体性の回復を試みるという視点が強調されてきた。とりわけそれを明示しているのは、J .ボイスによる「社会造形(彫刻)」という概念である。その要点は、現代社会の課題が表現主題に埋め込まれたアートへの参加・気づき・行動の変化という一連の循環によって、「誰でも未来に向けて社会を造形しうる」という理念を実現させることにある。本研究ではこのようなポリティカル・アートについて、市民性教育の文脈から美術教育における意義を再定義し、教育実践上の可能性を明らかにする。
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研究成果の概要 |
学校では地域や社会の課題にアプローチする美術教育の実践が試みられ、美術館や地域芸術祭などでも展示作品と関連した子ども参加型のワークショップが多く行われている。しかし、現代社会の構造的問題を踏まえた内容開発がどのような水準で行われているのかについての研究はなされておらず、社会・経済・政治に対する批評性を帯びたアートの機能が美術教育の文脈に根付いてきたのかを反省的に検討する必要性がある。本研究では、現代的課題を抱える社会・経済・政治に対する批評性を帯びたアートをポリティカル・アートとし、市民性教育の文脈から美術教育におけるその意義の再定義を試み、教育実践における可能性を明らかにする。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
美術教育学研究では、学校教育の背景にある教育政策や政治・経済状況への社会科学的・政策科学的な批判が必ずしも伴ってこなかった。本研究の特色として、領域横断性が挙げられる。それは第一に、美術教育学において、教育政策や政治・経済状況への社会科学的・政策科学的な批判を踏まえた上で、アートが持つ社会・政治・経済への批評性を再定義する試みである。第二に、ポリティカル・アートがもつ社会的文脈とプロジェクト型の方法の意義について、関連する社会科学や認知科学における基礎的知見を横断的に検討しつつ、同時代の美術教育の論理構築へ向けた研究を進める点である。
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