研究課題/領域番号 |
20K14017
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
|
研究機関 | 大阪人間科学大学 |
研究代表者 |
横島 三和子 大阪人間科学大学, 人間科学部, 准教授 (20584717)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
|
キーワード | 養護教諭養成 / 養護学 / 教育実践の可視化 / 質的分析 / 養護実践の体系化 / 科目内容構成 / カリキュラム |
研究開始時の研究の概要 |
現代的健康課題を抱える子供への対応は多様化し、健康面の指導だけでなく、生徒指導面でも大きな役割を担うなど、養護教諭の高い専門性と実践的指導力への期待が高まっている。一方、教職課程の質の保証・向上、コアカリキュラムへの対応から養護教諭養成カリキュラムが見直されているが、養護教諭の専門性を支える学問領域の軸となる「養護学」の構築には至っておらず、先導的研究の蓄積と理論化が急がれている。 本研究によって養護教諭の教育活動の可視化が可能になることで、教育職員としての養護教諭の専門性が明らかになり、養護教諭の実践力の向上に貢献できると期待される。
|
研究実績の概要 |
本研究は、養護教諭が目的を持って意図的に行う教育活動である「養護実践」に着目し、複雑で構造が見えにくい養護実践の可視化とその構造のあり様を明らかにすることを目的としている。また、教育職員としての養護教諭の専門性と実践力を育成する「養護学」構築のための方法論の提案を目指して取り組んでいる。 2022年度は、研究計画の3年目にあたり、昨年度までに開発してきた養護実践の可視化支援システムを見直し、蓄積データの質的分析の観点を踏まえて改良を重ねてきた。具体的な成果としては、以下のとおりである。 以前より養護実践を構成する要因や関連性に着目してきたが、養護教諭の思考や行為、信念は何を支えに成り立っているのか、養護教諭がアイデンティティをどのように変容し獲得しながら「専門性を高めていくのか」についての学術的な研究が見当たらないことに課題があることが示唆された。そこで、看護学や保育学を基盤としたプロフェッショナルの養成に関する知見から新たな緒を見出すことができるのではないかという仮説をもとに文献調査を進め、「養護学」確立に向けたモデルの構想を検討することができた。 また、本研究において、養護実践のデータをいかに抽出してその構造を明らかにするかということは大きなミッションであるが、そのためにはデータの質的分析は欠かせない。養護教諭の教育的意図や養護実践を支える学問的・専門的内容を表出するためには、分析のための概念的枠組みと理論的枠組みを探索して適用し、新たな知見をもとに理論化するという一連の研究のデザインを再構築する必要があることが明らかになってきた。 以上を踏まえて、研究協力者と協働体制を整え、養護実践を質的に分析して構造化を図り、理論構築のための方法論の提案を目指す。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
近年、養護教諭の業務においても様々な場面でICTが活用されるようになっており、業務の効率化や業務負担の軽減が図られているとともに、養護教諭のICT活用スキルが高まっている。また、校内の無線LAN環境の整備が図られたことにより、研究協力者の理解を得やすくなった。一方で、本研究で開発を進めてきたシステムと各学校においてすでに活用されているシステムとの組み合わせや関連付けに検討の時間を有することになり、実地調査の準備に予定以上の日数を要してしまった。加えて、データを分析する際の根拠となる概念的枠組みと理論的枠組みの探索に時間がかかってしまった。
|
今後の研究の推進方策 |
令和の日本型学校教育を担う教師の養成のあり方を踏まえた、養護教諭及び栄養教諭の資質能力の向上に関する調査研究協力者会議の議論の取りまとめに示されているように、「養護教諭は「教師」であると同時に、他の教諭等とは異なる専門性を有するとともに、その職務についても、子供たちの健康課題に対する個別的な対応を担うなど、授業における教科等の指導を日常的に行う教諭等とは異なる性格を有している」ことに対する本研究なりの見解を提示できるように努めたい。そのために、実地調査は欠かすことができない。現職養護教諭からの実践データの抽出と、それらの質的な分析を通して、理論化の方途を探っていく。
|