研究課題/領域番号 |
20K14025
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09050:高等教育学関連
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
櫻井 勇介 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 講師 (60771219)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 若手研究者 / 外国人 / 日本 / 能力開発 / 質問紙調査 / インタビュー調査 / 混合研究法 / 国際化 / 大学教員 |
研究開始時の研究の概要 |
国際化の推進が声高に叫ばれる昨今、国際的な資質を有する人材育成を加速させるべく大学教員や研究者も多様化している。中でも外国にルーツを持ち日本の機関に勤める若手研究者が増加し欠かせない存在となっている。しかし、異文化環境における研究者達自身の能力開発の経験とその過程はほとんど解明されていない。そこで本研究は外国人若手研究者の1)能力開発経験の現状と2)その過程を促進、または阻害する要因を明らかにする。そのために、外国人若手研究者による勤務経験の語りと質問紙データを収集し分析する。本研究の知見は、多様な人材が活躍する日本の大学環境の構築に応用され、我が国のさらなる大学教育と研究環境の発展に資する。
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研究実績の概要 |
本年度の計画に沿って、以下の3点について研究を遂行した。 1)適切な質と量のインタビューデータの収集:最終的に44名の外国人研究者からそれぞれ1時間程度の聞き取りを行った。その逐語録の作成を行い、現在はデータのオープンコーディング(注目すべき主要な語りを抽出)を進めている。日本語と英語の聞き取りが混在する調査協力者のため質的研究ソフトウェアでの扱いに手間取っているが、おおむね分析の方向性や結果の概要は見えているところである。今後は、注目すべき項目を絞り、具体的な傾向やパターンを示すことができるよう分析を進めていく。 2)論文の執筆:国際学会誌に2本の論文を投稿し、現在査読中である。そのうち1つは、半年以上査読に回らず、担当のEditorに問い合わせても「対応中」との返事しかなく、問題を認識している。現在は出版社に問い合わせているところであり、出版社からは返事をいただいたので速やかに査読が行われることを期待している。 3)アンケート調査結果概要報告書の出版:前年度に収集したアンケートデータの概要報告書を作成し、広く社会に公開した。国際化の遅れが頻繁に指摘される日本の大学であるが、意外にも日本の研究コミュニティー環境に満足している者が多かった(先行研究の結果をサポートしている)。 コロナウィルス感染症による一時的なインタビュー収集の遅れ(コロナウィルス感染症による社会変化によって引き起こされる研究結果への影響を避けるために意図的に遅らせた)がそのまま現在の進捗状況の遅れにつながっている。来年度は今年度進める予定であったインタビューデータとアンケートデータの併用による研究論文の執筆を進めていく見通しである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナウィルス感染症による一時的なインタビュー収集の遅れがそのままプロジェクトの現在の進捗状況の遅れにつながっている。本研究の1年目に、コロナウィルス感染症による社会変化によって引き起こされる研究結果への影響を避けるため、インタビューデータの収集を意図的に8か月程度遅らせざるを得なかった。アンケートデータとインタビューデータの収集は完了している。本年度44名の外国人若手研究者から、日本語または英語で聞き取り調査を収集し、聞き取り調査を完了することができた。その後の逐語録作成、オープンコーディングの作業は予定していた期間で進められているが、8か月の遅れは取り戻せていない現状である。この状況に呼応する形で、投稿論文についても、現在2本が現在査読中のままで出版には至っていない。その代わりに、インタビューデータのみを使用した結果概要をまとめた報告書を作成し公開し、また、他の方法で必要な資料を収集し、別途関連論文を執筆、出版した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに収集したアンケートデータとインタビューデータを補完的に活用し、論文執筆、諸学会での公開を行っていく。特に、日本における外国人研究者が、研究者としての能力開発の諸側面についてどのような特徴と傾向がみられるか把握する分析を行う。具体的には、アンケート回答結果を踏まえ、日本における外国人若手研究者の能力開発経験がどのようなタイプに分けられ、その具体的な困難や対処法策を整理していく作業を行い、論文執筆を進めていく。さらに、これまでの研究公開活動によって広がった研究者ネットワークを活用し、当初計画していなかったが他大学の若手研究者とも英語書籍の分担執筆も現在進めている。今年度はその2本の原稿を書き上げる予定であるが、出版はさらに1年後になる可能性がある。
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