研究課題/領域番号 |
20K14048
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09060:特別支援教育関連
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研究機関 | 上越教育大学 |
研究代表者 |
池田 吉史 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (20733405)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 実行機能 / 知的機能 / 適応行動 / ヴィゴツキー / 知的障害 / ASD / 遊び / 社会的相互作用 / 抑制 / 認知トレーニング / 認知制御 / ワーキングメモリ / 教育的介入 / 認知神経科学 |
研究開始時の研究の概要 |
知的障害は,知的機能の制約と適応行動の制約の2つに特徴づけられる神経発達障害である。特別支援教育の理念である「自立と社会参加の促進」を図るためには適応行動を高めることが重要だが,その背景要因として知的機能だけではなく実行機能も注目されている。本研究では,行動指標と生理指標(脳神経活動)を用いて知的障害児・者の実行機能の障害特性を包括的に解明するとともに,実行機能と知的機能・適応行動との関連を明らかにすることを通して,実行機能を視点とした適応行動の教育的支援モデルを構築する。さらに本研究では,「実行機能を高める支援」と「実行機能を補う支援」の検証を行い,教育的支援モデルの精緻化を図る。
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研究実績の概要 |
本年度は、実行機能に基づく教育的支援モデルの検証に取り組んだ。前々年度の研究より、知的障害児・者における実行機能の強みと弱みが明らかとなり、さらにそれらと適応行動との関連が明らかとなった。知的障害児・者の適応行動を高めることが自立と社会参加を促進することにつながるため、実行機能特性に基づく適応行動の教育的支援方法を考案・検証することを目的とした。 実行機能の支援アプローチとして、下記の2つが想定される。一方は「実行機能を高める支援」である。知的障害生徒を対象として、実行機能のトレーニング効果について検証を行う。他方は「実行機能を補う支援」である。例えば、家庭で宿題に取り組む計画を立てるワークシートや手順を示した手順表等の実行機能の補助ツールを用いることで、宿題に取り組むという適応行動の効率がいかに高められるかについて検証を行う。このうち、本年度は実行機能を補う支援に取り組んだ。 本研究は、小学校特別支援学級に在籍するASD児1名を対象に、実行機能の弱さを補う支援を通して社会的な遊びの成立を促すことができるかを検証することを目的とした。本研究の結果から、環境調整や話し合いにおける個人目標の設定などの支援方策の効果により、逸脱率が下がり、対象児が遊びの話し合い活動に取り組む際の注意の維持が働きやすくなることが示唆された。また、話し合い内容の理解やルールの共有を助ける「心の道具」が効果的に働くことによって、理解や共有を裏付ける行動の生起数が増加し、結果として、社会的な遊びの成立度が高まることが示唆された。これらの結果は、実行機能を補う支援の有効性を示唆するものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度に予定していた研究2「行動・生理指標に基づく実行機能の特性解明」が多くの対象者を必要とするが、感染症の影響のためにフィールド確保が難しく、本年度も研究2の実施を見送らざるを得なかった。しかし、令和5年度に予定していた研究3「実行機能に基づく教育的支援モデルの検証」の後半部を前倒しで実施することができた。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は、研究2「行動・生理指標に基づく実行機能の特性解明」の準備を進め、実施する。
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