研究課題
若手研究
知的障害は,知的機能の制約と適応行動の制約の2つに特徴づけられる神経発達障害である。特別支援教育の理念である「自立と社会参加の促進」を図るためには適応行動を高めることが重要だが,その背景要因として知的機能だけではなく実行機能も注目されている。本研究では,行動指標と生理指標(脳神経活動)を用いて知的障害児・者の実行機能の障害特性を包括的に解明するとともに,実行機能と知的機能・適応行動との関連を明らかにすることを通して,実行機能を視点とした適応行動の教育的支援モデルを構築する。さらに本研究では,「実行機能を高める支援」と「実行機能を補う支援」の検証を行い,教育的支援モデルの精緻化を図る。
本研究の目的は、認知神経科学的アプローチによる知的障害児・者の実行機能特性の解明とその教育的支援モデルの構築である。具体的には、①実行機能と知的機能・適応行動との関連の解明、②行動・生理指標に基づく実行機能の特性解明、③実行機能に基づく教育的支援モデルの考案・検証を行うことを目的とする。これまでの一連の研究 (Ikeda et al., 2013, 2014)を通して、知的障害児・者では実行機能の一つである抑制に著しい弱さがある可能性を明らかにした。特にこの弱さの背景として、前頭葉の機能不全が推測されたが、確証的なデータを得ることはできなかった。事象を裏付けるために、注目したのが脳機能計測である。近年では、神経発達障害児・者を対象とした関連する研究が成果をもたらしている。知的障害児・者においても、行動と合わせて脳神経活動を参照することで、その実行機能特性と背景について決定的な結論が得られ、それが教育的支援の重要なエビデンスになると考えられた。本年度は、知的障害児・者の実行機能特性を行動・生理指標により解明することを目的とした。生理指標(脳神経活動)にも着目することで、知的障害児・者の実行機能の神経機序を明らかにし、行動指標により得られた知見の裏付けを取るとともに、知的障害児・者における脳神経活動の普遍性と特異性を明らかにし、教育的支援の方向性を明確にすることを企図した。本年度に実施した研究では、小学校特別支援学級に在籍する知的障害児及びASD児30名を対象として、実行機能課題としてAX-CPTを実施し、課題遂行時における前頭前野の脳血流動態をNIRS計を用いて計測した。
4: 遅れている
研究2「行動・生理指標に基づく実行機能の特性解明」のデータが不足しており、分析が終了していないためである。
研究期間を令和6年度まで延長する。令和6年度中に、研究2「行動・生理指標に基づく実行機能の特性解明」のデータを継続して収集し、データ分析を実施する。
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