研究課題/領域番号 |
20K14049
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09060:特別支援教育関連
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
奥村 真衣子 信州大学, 学術研究院教育学系, 助教 (60824919)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 場面緘黙 / コンサルテーション / 行動療法 / 段階的エクスポージャー / 連携 / 遠隔支援 / 情緒障害 / 選択性緘黙 |
研究開始時の研究の概要 |
場面緘黙の有病率の低さから、学校現場は支援経験が少なく対応に苦慮しがちである。安心できる環境づくりや発話に代わる表現手段の保障といった、いわゆる合理的配慮のみでは話せるようになる見込みは低く、専門家と連携した対応が求められる。しかしながら、場面緘黙の専門機関は少なく、来談による支援には限界がある。 本研究では、地理的問題により専門機関へのアクセスが困難な地域における場面緘黙の効果的な遠隔支援の方法を 1)保護者や教師を自律的な支援実施者として育成する遠隔コンサルテーションの実施 2)保護者や教師の自律的な支援実施と子どものプログラム参加を促進する玩具等の活用 をとおして検討する。
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研究実績の概要 |
場面緘黙の治療には集中的かつ積極的な介入が必要であるが、対応可能な専門機関は限られており、地理的時間的な制約から来談が困難なケースも多い。本研究では、保護者や教師を対象に遠隔コンサルテーションを実施し、居住地に関係なく同質の支援を提供する方法を検討することを目的とする。 2023年度は介入ケースのフォローアップを進め、2022年度のデータに追加して検討した。2022年度は、段階的エクスポージャー課題(発話支援)のスムーズな実施と高い支援効果には、本人の発話意思が明確であること、担任および保護者が積極的に関与できること、クラスメイトとも良好な関係にあることが重要な要素であることを示した。2023年度はさらに、コンサルテーション支援を推進するために支援者(教師・保護者・専門家)がどのような役割を担っていたか各ケースごとに整理し、学校において段階的エクスポージャー課題を円滑かつ確実に進めるための連携体制の在り方を検討した。 連携体制は、学校種や在籍学級の違いによって大きく異なった。特別支援学校の場合、すべての教員が特別支援教育の専門性があるため、担任や管理職の理解が得やすく、教育活動の中でエクスポージャー課題を進めることができた。また、学校と専門家(筆者)をつなぐ役割を教育相談担当や自立活動専任が担い、学校の中でも役割分担ができていた。小・中学校においては、特別支援学級の場合、担任がエクスポージャー課題の実施者兼専門家とのコーディネート役を担うケースがあり、担任の裁量のもと柔軟な対応が可能であった。通常学級の場合、保護者が専門家とともにエクスポージャー課題を立案し、学校と専門家をつなぐ連絡役を担うなど、保護者に過剰な負担がかかった。自校に通級指導教室がない場合は校内で専門的なリソースにアクセスできないことや、校内外連携を専任業務とする教員配置ができていないことが課題と言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
支援終了順にフォローアップ調査を実施しているが、ケースによって支援の進捗度合に差があるため時間がかかっている。
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今後の研究の推進方策 |
本人・保護者・教師へのフォローアップ調査を順次実施し、支援の妥当性を検証する。子ども個々の状態(緘黙症状の程度、併存症の有無、発話への意欲、学年)や、家庭の協力度(筆者と学校をつなぐ連絡役、筆者と一緒に支援計画立案)や、学校の協力度(担任の関与、クラスの関係性)、学校の支援体制(自校通級の有無、特別支援教育コーディネーターの機能、管理職の理解)の違いを踏まえて連携上の課題を整理し、状況に応じた連携支援の在り方を検討していく。
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