研究課題/領域番号 |
20K14050
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09060:特別支援教育関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松本 恵 大阪大学, 大学院連合小児発達学研究科, 寄附講座助教 (50818664)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | フロー体験 / 解離的対処 / プランニング / 身体感覚の特異性 / 自閉症スペクトラム / 過集中 / RRB / 感覚特性 / 身体感覚 / 失体感症 / RRB / 時間感覚 / 青年期・成人期 / 社会適応 / 軽度な特性 |
研究開始時の研究の概要 |
自閉症スペクトラム(ASD)特有の症状のうち、あるタスクに夢中になりすぎることで社会不適応をもたらす過集中という現象が困りごととして訴えられることがある。多くは本人の自覚が乏しく、周囲の対人関係とのこじれや安定した社会活動の営みに支障を来すことが多い反面、短時間で高い成果を発揮する強みや生き生きとした充実感につながる側面もある。本研究では、ASD者特有の過集中の機制やタイプを明らかにし、効果的な介入や支援を目指す。
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研究実績の概要 |
過集中とは、あるタスクに夢中になりすぎるという行動様式(Brandon K, 2019)であり、統合失調症やADHDでも同様の傾向が認められるが、ASDの当事者の文脈では強みや自己効力感として語られることが多い。一方で、外的環境との摩擦や過度な疲労感という不適応につながる側面もあるため、 ASD者の過集中の特異性を検討することで、社会活動における内的・外的肯定感につながる特性として生かすための効果的な対応を検討することが本研究の目的である。これは、診断に至らない軽度なAS者にとっても有益な情報となることが期待される。 後方視的研究では、約200名のSRS-2、AQ、TAS-20、STSSなどの質問紙を元に、ASD特性と身体的特性との関連についてのデータセットを作成中である。今年度はデータの精度を上げるために医師らとともに全例の診断名の再検討を行った。そのため、データ分析は来年度に着手する予定である。 インタビュー研究では、前年度収集した32例(本人23例、家族9例)のインタビューデータをテーマ分析を用いて分析した。その結果、「過集中の経験:心躍る、没入」「発達特性:プランニング、感覚特性」「もたらされるもの:ポジティブ、ネガティブ」の3テーマが生成された。AS者にとっての過集中は、日常的にさらされているストレスに対する解離的対処であることや、興味惹かれるものへのより能動的なフロー体験と重なる点があると考えられる。より適応的に働くためにはプランニングや見通しの援助が効果的な可能性が高いことが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
後方視的研究のデータについて、過去数年の入力期間中に診断基準の微細な概念変更などがあったため、全体の診断名の整合性を担保するために全例の診断名の再検討を行うこととなった。そのため、分析の着手が計画よりも遅れている。 インタビュー研究では、今年度、学会発表を行い、論文化作業に着手している。
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今後の研究の推進方策 |
データの修正作業は、全体の8割程度まで完了している。来年度にはデータセットを完成し、分析および結果の公表が可能となる見込みである。インタビュー研究については、現在の結果に家族からの社会適応状態の情報を追加分析し、来年度の論文化に向けた作業を引き続き進めていく。
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