研究課題/領域番号 |
20K14058
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09060:特別支援教育関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
江頭 優佳 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 知的・発達障害研究部, リサーチフェロー (10793200)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | ADHD / 時間知覚 / 注意欠如・多動症 / 注意欠如多動症 / 検査バッテリー / 治療法 / 脳機能 |
研究開始時の研究の概要 |
時間認知系機能の異常は注意欠如・多動症(attention-deficit/hyperactivity disorder:ADHD)の病態を説明する第三の経路である。しかしながら時間認知系機能の活動を客観的に計測できる検査バッテリーはなく、時間認知系の機能低下と顕在化するADHD症状の関連は不明である。そこで本研究では時間知覚課題実施中のADHD児の脳活動を計測し、時間知覚課題の成績パターンと関連する脳活動を明らかにすること、その結果を元に時間認知系機能計測のための検査バッテリーと検査結果に基づく訓練プログラムを開発することを目的とする。
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研究実績の概要 |
今年度はデータ取得を継続し、これまでに疾患群・定型群合わせて小児103名に対する計測を実施した。成人を含めてこれまでに377例の計測を終了している。 本年度は検査バッテリー作成のための検討のひとつとして、課題間の関連を明らかにすることを試みた。結果、現在ADHDを対象とした時間知覚研究で多く用いられている課題(時間再生、時間弁別、タッピング)はそれぞれが独立しており、異なる時間認知の側面を反映するが、その背景には実行機能系との関りの強さの違いがあることが分かった。とくに時間再生課題は前頭機能の関与が大きく、他の二つの課題と比較して検査時のコンディションや個人の認知機能の影響を受けやすいことが分かった。そのため、ADHDに対する時間知覚機能の検討では複数の時間知覚課題を用いる必要があると考えられた。更に、現在主に用いられている時間知覚課題は時間長に関わらず主に前頭機能を中心とした時間認知を反映すると考えられた。従って、ADHDの時間知覚機能不とADHD病態との関連の背景を成すと考えられる小脳系の機能的偏倚の計測にはより小脳の関与が高い時間知覚課題を実施する必要があり、今後検討する。 これらに加えて、ADHD病態との関連について、小児を対象とした予備的検討を行った。定型群とADHDおよびADHD・ASD併存児を対象に、時間再生課題継続時の再生時間長のばらつきとADHD特性、CBCL得点の関連を比較したところ、定型小児ではADHD特性と再生時間長のばらつきに正の相関があったが、ADHD児では関係は見られなかった。CBCLとの関係も定型小児とADHD児では異なっていた。今後、背景を成す要因について詳細に検討し、時間知覚機能とADHD病態との関連を明確にすることを目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでに疾患群・定型群合わせて小児103名に対する計測を実施した。成人を含めてこれまでに377例の計測を終了している。しかしながらADHD小児の参加数が40例程度不足している。その対策のために現在、リクルート範囲を変更するなどの試みをしている。ADHD小児の年齢に応じて定型小児のデータを追加取得する必要が生じる可能性がある。そのため群間比較が予備的なものにとどまっている。更に、ADHD群内の個人差に対する検討ができていない。しかしながら定型群に対する検討は進めており、結果の一部を国際誌に投稿準備中である。以上の理由からやや遅れていると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
一番の課題は小児ADHD群のデータ数を増やすことである。現在、協力機関以外の病院・クリニックや近隣地域への研究内容紹介チラシの郵送によるリクルートを実施している。今後、地域のNPO等へのアプローチによる協力者数の増加を目指している。データの集積が完了次第、成果の国際誌への投稿を目指す。
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