研究課題/領域番号 |
20K14062
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09060:特別支援教育関連
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
福田 奏子 宇都宮大学, 共同教育学部, 助教 (20844799)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 盲児 / 視覚障害児 / 立体構成課題 / 課題順序性 |
研究開始時の研究の概要 |
複数のものを組み合わせて一つのまとまりのある空間を形成する構成課題は、空間や数量概念獲得の基盤となる重要な課題である。しかし、盲児は積んだり並べたりした状況を視覚で把握できず、触覚を通して把握しなくてはならないため、見える子どものための積み木・パズル等の教具をそのまま活用することができない。盲児が触運動感覚を通して実施可能な構成課題を開発することは喫緊の課題である。本研究は、①盲幼児・児童の空間・数量概念の獲得を促す枠のある立体構成課題を開発し、②盲幼児・児童50名程度を対象にその課題配列を検証するとともに、③枠のある立体構成課題を用いた量の保存課題の順序性について検証することを目的とする。
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研究実績の概要 |
本研究は、盲児が触運動感覚によって実施可能な立体構成課題を考案・開発し、その難易度を明らかにすることを目的としている。市販の積み木やパズル等の教材・教具は、視覚を通して課題達成を理解することを前提としたものが多く、盲児のために市販のものを改造したり、最初から開発したりする必要がある。私たちは、触運動感覚を通して課題理解がしやすい構成課題として、枠のある立体的構成課題(以下,枠入れ立体構成課題)を考案し、昨年度触運動感覚を通して操作しやすい教具の大きさについて検討した。次に、系統的・段階的指導の観点から、課題順序性を明らかにすることが重要である。そこで、今年度は、枠入れ立体構成課題の課題達成率の分析および未達成課題の誤答時の行動観察を行い、課題順序性について予備的に検討した。 触覚を主に活用して学習している盲幼児・児童計6名を対象とし、積木の組合せと提示順を実験要因として9課題実施した。課題達成率および、未達成課題の誤答時における手の動きについて行動観察を行った。その結果、同じ積木の組合せであっても、提示順によって達成率が異なり、大きい積木から入れる提示順より、小さい積木から入れる提示順の方が、達成率が低いという結果であった。手の動きについては、積木を寄せる動きが不十分である対象児、および寄せる動きは見られるものの、下段に1倍体の積木を入れる際、確実に寄せる様子が見られなかった対象児は達成できない課題が見られた。今回の成果に基づいて、次年度以降、課題順序性に影響する要因についてさらなる検討をした上で実験を行うことが可能となった点は意義があると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
盲児が触運動感覚によって実施可能な枠入れ立体構成課題の課題順序性について、盲幼児児童を対象に予備的研究を行い、次年度以降の実験計画の基礎となる重要な知見を得た。また、課題順序性について実験を行うだけでなく、盲幼児1名を対象として、立体構成課題を用いた量の保存に関する指導実践を行うことができた。この結果については、次年度以降実施予定の、枠入れ立体構成課題の順序性に関する研究および量の保存に関する研究において活用する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、盲幼児児童における枠入れ立体構成課題の順序性に関する研究および量の保存課題に関する研究を実施する。国内の視覚特別支援学校の学校長宛に研究の説明および研究協力依頼を行い、盲児を対象に、枠入れ立体構成課題9課題および、量の保存課題を実施する。児童が取り組んでいる様子をビデオカメラで記録し、課題の成否、課題遂行時間および手の使い方について分析を行う。視覚特別支援学校への協力依頼は、3校程度に行う計画である。
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