研究課題/領域番号 |
20K14065
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09060:特別支援教育関連
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研究機関 | 医療創生大学 |
研究代表者 |
原田 真之介 医療創生大学, 心理学部, 講師 (70802883)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | カンボジア / 障害者 / 特別支援教育 / 自立支援 / 臨床動作法 / 肢体不自由 / 療育 / 睡眠 / 障害者入所施設 / 療育活動 / 施設内療育 / 心理ケア |
研究開始時の研究の概要 |
カンボジアでは、児童養護施設への入所児童が約3万人おり、中でも肢体不自由の障害児の入所が最も多い。このような肢体不自由の入所児童は、療育や心理ケアを受ける機会が不十分で、心身の自立を育めずに社会参加できない例も多い。そこで本研究は、カンボジア国内の児童入所施設をフィールドとし、肢体不自由の入所児童を対象とした実態調査と、療育と心理ケアを目的とした介入実践、そして実施先での施設内療育と心理ケア運営のシステム構築を目的とした研究を行う。本研究では、既に研究実施先の確保と日本とカンボジア両国における連携組織の構築を済ませており、4年間の研究計画を遂行する準備は十分にある。
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研究実績の概要 |
今年度については、カンボジア現地とのオンラインでの通信を通じて、採択事業に関連する臨床実践研究やインタビュー調査を行い、研究成果を国内での研究発表、英文誌または書籍化を通じて発表した。具体的には、①カンボジアでの臨床動作法の普及と定着を図ったガイドブックの作成、②カンボジア人障害者への臨床動作法の支援の実践と事例報告、③カンボジアでの特別支援、福祉実践の経験を対象としたインタビュー研究を行い、カンボジアでの教育福祉に関する海外支援の困難性についての実態調査、④カンボジア人大学生に対する障害者観をパイロット的に明らかにするインタビュー研究を行った。 ①については、日本語、英語、クメール語の三国語を表記した書籍を作成した。日本語とクメール語を表記することで、日本人の専門家と現地の支援スタッフとの間において、臨床動作法の支援方法の共通理解を高めることに繋がると考えられた。②と③については、カンボジアでの実際的な臨床動作法支援の事例的効果、またカンボジアでの海外支援の定着についての課題と困難性についての知見を国際的に発信することに繋がったと考えられる。④については、カンボジアの中心的な大学機関の一つである王立プノンペン大学を大学生を対象にし、対象学生がこれまでの生育歴の中で、障害者と出会いと交流した経験、障害自体の理解や教育的意義の理解、さらには具体的な教育方法の知識などをインタビューを通じて聴取、整理した。このような一般人を対象とした実態調査の知見はカンボジアをフィールドにした研究において見当たらないため、大変貴重な知見に繋がったと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本事業は、当初の研究フィールドであるカンボジアプノンペン市内にある国立障害児入所施設「National Borei for Infant and children」での臨床実践や実態調査のみに限定していた。しかしながら、今年度の研究活動の展開を経て、カンボジア国全体の障害者の生活や障害者観念、カンボジア人全体の文化的側面の実態を把握でき、その中での海外支援の展開・定着の難しさなども明らかに出来た。以上の困難性を踏まえた上での障害者を対象とした臨床実践、現地の支援スタッフへの教育といった工夫を見出し、ガイドブック等の成果物も完成できた。また、カンボジアで活動する障害者教育・福祉の実践家との連携も進み、当初の計画以上に活動と成果の創出が進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、書籍でのガイドブックに加え、教材用の映像媒体も製作し、2023年4月に完成予定である。また、2023年8月にはカンボジアを訪問し、National Borei for Infant and childrenでの実践活動と効果測定、ガイドブックと教材映像の上映を行った現地スタッフの教育的アプローチの実践を行う。さらには、2024年2月にもカンボジアを訪問し、新たな実践先として、カンボジアの首都プノンペン市で唯一の障害者の自立支援センターである「Phnom Penh Center For Independent Living」での臨床動作法実践と効果測定、支援スタッフへの教育的アプローチの実践を行う。
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