研究課題/領域番号 |
20K14120
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09080:科学教育関連
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研究機関 | 山梨大学 (2021-2022) 明治学院大学 (2020) |
研究代表者 |
杉山 雅俊 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (60806561)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 教員養成 / 理科教育 / 省察 / ゲシュタルト / 授業力量 / 変容的学習 / 理科授業 / 模擬授業 |
研究開始時の研究の概要 |
教師知識の形成においては、省察が鍵となる。しかし、学生たちは効果的な省察を行うことが困難であることが明らかにされている。本研究は、コルトハーヘンの指摘、すなわち、教師の専門家としての学びの上で、個人がもつニーズや関心の集合体であるゲシュタルトをいかに形成するかが鍵となることに注目する。本研究では、理科授業の実践に関わる教師知識の形成に焦点をあて、教師志望学生の理科授業実践に関する省察の実態をゲシュタルト形成の観点から解明するとともに、ゲシュタルト形成を志向した省察プログラムを開発・検証し、教員養成においてリアリスティック・アプローチを導入する可能性について検討することを目的とする。
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研究実績の概要 |
本研究課題は、理科授業の実践に関わる教師知識の形成に焦点を当て、教師志望学生の省察の実態をゲシュタルト形成の観点から解明するとともに、ゲシュタルト形成を志向した省察プログラムを開発・検証し、教員養成においてリアリスティック・アプローチを導入する可能性について検討することである。令和4年度は、次の2点に取り組んだ。 第1に、教師志望学生が教育実習における理科授業経験に対してどのように意味を付与するのかについて、実習生の語りの分析によってその実相を明らかにした。分析の結果、対象とした実習生は、「全員が理解している」という授業についての考え方が「手を挙げる回数をどれだけ増やすか」という授業づくりについての考え方を規定していたり授業の進行に影響を与えたこと、「光合成と呼吸を一緒に考えてほしい」という実習生の思いが、「全員が理解している」という授業についての考え方よりも優先されたこと、「全員が理解している」授業を目指して取り入れた方法が他者に制されたことを契機として批判的省察を喚起し、それを通じて批判的自己省察が達成されたことを明らかにした。 第2に、中学校理科の普通免許状の取得を目指す4年次生を対象に、これまで暗黙的に形作られてきた理科授業に対する信念を問い直すとともに、「理科におけるありたい教員像」を明らかにするためのプログラムを試行的に実施した。具体的には、学生自身が3年次に作成した実習日誌を手がかりとして自らの理科授業に対する見方・考え方を分析し、理科教師としての発達に向けた新たな問いを設定し、考究することであった。プログラムを受講した学生の感想から、暗黙の前提に気づいたことや他者が前提とする考え方に基づき自らの考え方を省察していたことなどが挙げられ、本プログラムの成果が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
教師志望学生の省察の実態の分析やプログラムの試行など、令和4年度は当初の計画通り進行した。しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大防止措置を受け、研究開始当初から見直しを余儀なくされた状況であったため、補助事業期間の延長を申請した。以上の状況から総合的に判断し、「おおむね順調に進展している」が妥当であると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は、ゲシュタルト形成を志向した省察プログラムを開発・検証し、教員養成においてリアリスティック・アプローチを導入する可能性について検討することが主たる課題となる。その際、令和4年度に試行したプログラムを基盤としてその改善を行う見通しである。
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