• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

トランスサイエンス時代の技術者の市民的知性育成に向けたグループ対話型授業の開発

研究課題

研究課題/領域番号 20K14125
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分09080:科学教育関連
研究機関宇部工業高等専門学校

研究代表者

小川 泰治  宇部工業高等専門学校, 一般科, 准教授 (40824975)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
キーワード技術者倫理教育 / 哲学対話 / 市民性教育 / ファシリテーション / 高専 / オンライン授業
研究開始時の研究の概要

「トランスサイエンス」の領域が広がるなか、技術者教育の分野でも市民的知性育成のためカリキュラム開発が急務の課題である。そこで申請者は高専において「哲学対話」の実践を繰り返してきたが、物理的制約(学生数が多すぎてはいけない)や汎用性(非専門家の教員にも授業できるものでなくてはいけない)などの課題が明らかとなってきた。これらの課題を克服するため本研究では①学生たちにファシリテーターとしてのスキル育成の教育を行ったうえで、②技術者に必要なテーマに沿ったワークシートを作成し、③哲学対話の特徴を活かしたまま多人数授業でも学生たち自身によって進行可能なグループ対話型授業の実施と検証を行う。

研究実績の概要

本研究の当初からの目的は主に以下の3点である。①学生ファシリテーターのスキル育成のためのカリキュラム開発。②対話を可視化し、グループでの対話を促進するワークシート教材の開発。③市民的知性育成のための哲学対話を応用したグループ対話型授業の開発。
2023年度は主に①および③について取り組んだ。①については2022年度と同様、勤務校の「プロジェクト学習」において哲学対話のファシリテーションを主題とした授業実践を、複数の研究協力者を招聘しながら行い、複数の研究者や実践者また学生らとともに研究会を実施した。2023年度はとりわけ「技術」をテーマとする対話を多く実施したことで、高専の学生とどのようなテーマや素材で対話をすることが関心を惹きやすいかについても一定の知見を得ることができた。また、②や③に関わる点として、対話を始める際のアイスブレイクについても学生とともにいくつかのパターンのものを開発することができた。
③については、その前提となる、「技術者の市民的知性育成のための哲学対話」について、豊橋技科大の岩内章太郎准教授との連携を深め、「ネガティブ・ケイパビリティ」の観点からその意義を論じた論文が採択されるに至った。また、豊橋技科大との実践交流を通して岩内准教授の専門である現象学的な本質観取の手法の理解を深めることで、より手続き化しやすい対話の手法についても具体的に理解を深めることができた。こういった研究により、あらためて本研究によって目指すべき「技術者のための哲学対話」のあり方を再確認することができた。
研究最終年度となる2024年度は、引き続き実践を進めながら、様々な場面での技術者教育に対応可能な対話型授業のデザインについて、具体像を提示することを目指す。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本務校の業務過多により研究時間を十分に拠出できなかったこと、および、当初の目的遂行に関連した哲学対話についての理論的研究に予定よりも多くの時間を割くことになったことから、研究目的に沿った論文や授業手引き等の成果を作成することができなかった。

今後の研究の推進方策

研究実施期間を延長し、2024年度が研究最終年度となる予定である。これまでの研究期間に行ってきた本務校での哲学対話の様々な実践、ならびに理論的研究の成果を合わせながら、技術者の市民的知性育成という課題に対して、様々な技術者教育の場面で応用可能な具体的な哲学対話の実践方法を示すことを目指す。

報告書

(4件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 2020 実施状況報告書
  • 研究成果

    (16件)

すべて 2024 2023 2022 2021 2020

すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 図書 (3件)

  • [雑誌論文] 技術者教育における哲学対話の実践:「ネガティブ・ケイパビリティ」に注目して2024

    • 著者名/発表者名
      小川泰治・岩内章太郎
    • 雑誌名

      『工学教育』

      巻: 72(4)

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] なぜ「呼ばれたい名前」で呼び合うのか―哲学対話における名前と呼びかけの問題に向けて2023

    • 著者名/発表者名
      小川泰治
    • 雑誌名

      宇部工業高等専門学校研究報告

      巻: 69 ページ: 29-38

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 「人それぞれ」発言は哲学対話に何を引き起こすのか2023

    • 著者名/発表者名
      小川泰治、岩内章太郎
    • 雑誌名

      思考と対話(日本哲学プラクティス学会学会誌)

      巻: 5

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 哲学対話の実践者はどう協力して作業できる? ー倫理綱領勉強会の経験と座談会から考えるー2023

    • 著者名/発表者名
      桂ノ口結衣, 井尻貴子, 小川泰治, 木下真希, 鈴木径一郎, 安本志帆, 山本和則
    • 雑誌名

      『みんなで考えよう』(哲学プラクティス連絡会)

      巻: 5 ページ: 14-42

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 哲学対話に「答え」はないのか ー子どもの哲学と現象学的哲学対話の観点から2022

    • 著者名/発表者名
      岩内章太郎, 小川泰治
    • 雑誌名

      『現代生命哲学研究』

      巻: 11 ページ: 57-81

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 子どもの哲学と民主主義 ―選好の変化とコンセンサス形成を可視化するワークの開発と実践―2020

    • 著者名/発表者名
      西山渓 , 村瀬智之 , 小川泰治
    • 雑誌名

      『思考と対話』(日本哲学プラクティス学会)

      巻: 2 ページ: 26-37

    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] いつから「哲学対話」なんて呼ぶようになったんだっけ?:名称の定着をめぐって2023

    • 著者名/発表者名
      小川泰治
    • 学会等名
      哲学プラクティス連絡会第9回大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 対話型政治教育としての高校生との哲学対話と「隠れたカリキュラム」[ラウンドテーブル:対話型政治教育の意義と課題ー九州での実践を踏まえてー]2023

    • 著者名/発表者名
      小川泰治
    • 学会等名
      教育哲学会第66回大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Why I leave My Office Door Open ーTo create CoI outside the classroom with a weak tie2022

    • 著者名/発表者名
      Ogawa Taiji
    • 学会等名
      The 20th Biennial International ICPIC(The International Council of Philosophical Inquiry with Children) Conference
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] なぜフィロソフィーネームをつけるのか2022

    • 著者名/発表者名
      小川泰治
    • 学会等名
      哲学プラクティス連絡会第8回大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] なぜ哲学対話は僕たちを惹きつけたのか?あるいはなぜ他の多くの友達を惹きつけなかったのか? ―高専での5年間の経験から―2022

    • 著者名/発表者名
      畑絢登, 大浜怜, 小川泰治
    • 学会等名
      哲学プラクティス連絡会第8回大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 学校における哲学プラクティスの課題と 実践者の職業倫理ーこれから、実践者に必要なのは誰との/どのような協力・協業体制だろうか?2021

    • 著者名/発表者名
      小川泰治
    • 学会等名
      日本哲学プラクティス学会第3回大会 シンポジウム「哲学プラクティスの倫理」
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] こどもの哲学と専門知 あるいは、自由に考えることと知ろうとすること2020

    • 著者名/発表者名
      小川泰治
    • 学会等名
      哲学プラクティス連絡会第6回大会
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [図書] もし友だちがロボットだったら? : 哲学する教室のつくりかた 30の授業プラン2023

    • 著者名/発表者名
      ピーター・ウォーリー、永井玲衣、小川泰治、古賀裕也、後藤美乃理、田中理紗、得居千照、西山渓、堀越耀介
    • 総ページ数
      368
    • 出版者
      晶文社
    • ISBN
      9784794973894
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [図書] 哲学対話と教育(コラム 哲学対話の「学校化」に抗う―中学校での哲学対話(pp. 74-77)、第2章 実感のある問いを、生きた言葉で―小石川中等教育学校(pp. 79-95)を担当)2021

    • 著者名/発表者名
      寺田俊郎、小川泰治、中川雅道、藤本啓子、渡邊美千代、鈴木径一郎、辻明典、川崎唯史、堀越耀介、田代伶奈、今井祐里、永井玲衣、古賀裕也、堀静香、中岡成文
    • 総ページ数
      346
    • 出版者
      大阪大学出版会
    • ISBN
      9784872597271
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [図書] ゼロからはじめる哲学対話(第4章-3 知っておきたい哲学のテーマの概説-倫理と道徳、を担当))2020

    • 著者名/発表者名
      河野 哲也、得居 千照、永井 玲衣
    • 総ページ数
      376
    • 出版者
      ひつじ書房
    • ISBN
      9784823410321
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2020-04-28   更新日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi