研究課題/領域番号 |
20K14126
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分10010:社会心理学関連
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研究機関 | 埼玉県立大学 (2021-2023) 東京大学 (2020) |
研究代表者 |
白岩 祐子 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 准教授 (40749636)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 霊魂観念 / 他界観 / 二人称の死 / 死別 / 遺族 / 解剖 / 臓器提供 / 戦没者遺骨 / 死後世界観 / afterlife image / life after deaath / 司法解剖 / 死者儀礼 / 未帰還遺骨 / afterlife belief / life after death / 魂 / 共生 / 加護 / 他界 / 生まれ変わり / 弔いの必要性 / 大きな存在への統合 / 記憶や記録 / 死後観 / 死後生 / 民俗学 / 死生学 / 文化人類学 / 死の人称 / 死生 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の概要は以下の三点を明らかにすることである。
1)一人称・二人称の死のように 死を切実な問題として認識したとき、日本人が依拠する死後観の全貌とはどのようなものか 2)これらの死後観は、死や死者と向きあう慣習や作法、脳死や解剖・移植など死にまつわるさまざまな社会制度への態度にどのような影響を及ぼしているか 3)私たちは何ゆえこれらの死後観を保持しているのか、死後観はどんな機能をもつのか
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研究成果の概要 |
本研究の目的は,大切な人の死後に関する日本人の多様な心象を一元的に把握するための尺度(死後世界観尺度)を開発し,各因子と遺族の認知・行動との関連,および死後世界観の機能を明らかにすることであった。隣接領域や関連する文献の精査,実験,遺族を対象とする調査などから以下のことが明らかになった。 第一に,死後世界観は「霊魂の存続と共生」,「良き他界」,「生まれ変わり」など5因子構造が確認された。第二に,5因子のうち,霊魂の存続についての心象,すなわち霊魂観念が,供養の頻度・手厚さを規定していること,遺体や遺骨の保全的態度などと関連していた。第三に,死後世界観は,遺族の喪失感と関わっていた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
現代の人びとは霊魂観念を受容しなくなって久しい,と指摘されてきた(山折, 2011)。あるいは,自覚されない心象であるために,調査などでは抽出不可能だと指摘されてきた(波平,2004)。日本人の文化的背景に合致した死後世界観尺度をはじめて開発した本研究は,霊魂観念や死後世界観を調査を用いて測定することは,少なくとも大切な人と死別した遺族の場合,十分可能であることを明らかにした。その上で,遺族が抱く大切な人の死後世界観は,遺体・遺骨への敬意や愛着を共通して説明しうる認知基盤となっていること,解剖や臓器提供をめぐる名状しがたい嫌悪の背後に霊魂観念が存在することなどをはじめて実証的に明らかにした。
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