研究課題/領域番号 |
20K14129
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分10010:社会心理学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
寺嶌 裕登 名古屋大学, 教育基盤連携本部, 特任准教授 (10851967)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 利他性 / 文化 / 社会生態学的環境 / 稲作 / 生業 / 分配 / 規範 / 集団 |
研究開始時の研究の概要 |
近年の社会・文化心理学の研究は、社会生態学的アプローチに基づき、様々な共同体(国家)における歴史的な生業(資源を確保する主要な方法)が、その共同体の文化やその共同体の成員の心の在り方を規定することを示している。本研究では、灌漑を利用した稲作に着目し、この生業を持つ国と他の生業を持つ国とで、資源の分配の仕方と利他性に関わる文化に違いがあることを示す。具体的には、複数の国からサンプルを募る大規模な国際調査を行い、生業に対応した形で利他性や分配に関する信念の文化差が存在することを示す。また、このような文化差は、生業に特有の資源の維持・分配の構造的な問題から生じることを示すために、ゲーム実験を行う。
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研究実績の概要 |
2022年度は,各国における社会生態学的環境(伝統的な農業形態)と現在その国に居住している個人の利他性との関連を検討した。利他性については,国レベルのWorld Giving Indexデータ(見知らぬ他者への利他性,ボランティア活動の頻度,寄付額の多寡)を利用した。社会生態学的環境については,1960年代の農業統計に基づき,主食として扱われる穀物・根菜類等の生産において稲作が占める割合を国ごとに算出し,伝統的な農業形態における稲作の社会的重要性の指標とした。 分析の結果,見知らぬ他者への利他性は,稲作の社会的重要性と負の相関を示すことが明らかとなった。また,この相関は,各国の現在の1人当たりのGNIを統制しても,有意なままであった。一方,ボランティア活動の頻度や寄付額の多寡については,稲作の社会的重要性との間に有意な相関は認められなかった。以上の結果は,稲作に関する社会生態学的要因が,全般的な利他性ではなく,見知らぬ他者に対する利他性を抑制することを示唆している。また,本分析は国レベルの分析であるため,稲作の伝統が,農業に従事しない個人を含む社会全体に共有される利他性の文化的特性に影響を及ぼしている可能性を示すものである。 以上の結果は,社会生態学的環境としての稲作に関わる社会規範が,その社会における見知らぬ他者への利他性を抑制するという本研究計画の想定と一致するものである。しかし,想定通りの結果が得られたものの,統計的検定の効果量が大きくなかったことから,社会生態学的環境の指標に関しては改善の必要があると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画していた各国の利他性の文化差を説明する要因として想定している社会規範を測定するための尺度の開発に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
文化差を説明する社会規範を測定するための尺度の開発の作成し,信頼性,妥当性を検証したうえで,地域間比較および文化間比較を実施する。
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