研究課題/領域番号 |
20K14141
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分10010:社会心理学関連
|
研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
山本 真菜 日本大学, 商学部, 准教授 (50781184)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | ステレオタイプ / ステレオタイプ抑制 / 視点取得 / 自尊感情 / 逆説的効果 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、ステレオタイプや偏見を低減するための方略を検討することを目的とする。人々は、集団やその集団に所属するメンバーに対してステレオタイプや偏見をもつことがあるが、平等主義的な観念からそれらを考えないように意識的に努力する。しかし、抑制後かえってステレオタイプ的な信念や偏見が強くなってしまう逆説的効果が示されており、ステレオタイプ抑制の弊害であるといえる。そこで本研究では、ステレオタイプ抑制による逆説的効果を低減する方略として、「相手の立場になって考える」という視点取得の効果を検討する。
|
研究実績の概要 |
2023年度は,2022年度に行った実験のデータについて以下の内容の論文を投稿した。 ステレオタイプを抑制しようとすると,かえってステレオタイプが活性化されステレオタイプ的な判断を行われやすくなるという逆説的効果がある。本研究では,ステレオタイプ抑制による逆説的効果を低減する方略として,視点取得の効果を検討した。視点取得を行うことによって有効な代替思考が利用されやすくなる可能性が考えられる。視点取得を行うと自己概念が活性化され自己と他者の表象が重なり,ステレオタイプの活性化を抑えることが示されている。そこで,ステレオタイプ抑制の際に視点取得を行うと,視点取得によって活性化された自己概念が有効な代替思考となる可能性が考えらえる。 具体的には,日本の大学生を参加者として,女性の数学能力に関するステレオタイプを取り上げた。参加者がある情勢に対するステレオタイプを抑制した場合,その女性に対する視点取得を行った個人は,行わなかった個人に比べ,他の女性に対するステレオタイプ的な判断の程度が少ないことが予想された。さらに,本研究はジェンダー・ステレオタイプに焦点を当てているため,女性に対する視点取得を行う効果が参加者の性別によって異なるかどうかを探索的に検討した。分析の結果,有意な効果はみられず,仮説は支持されなかった。また,統計的に十分ではなかったが,女性参加者のうち,視点取得を行わなかった参加者は,ステレオタイプ抑制の逆説的効果を示したことが示唆された。しかし,視点取得を行わなかった参加者には,そのような逆説的的効果はみられなかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は,2022年度に行った実験で得られたデータについて論文を執筆,投稿し,『BMC Research Notes』に掲載された。 この論文では,大学生を実験参加者として,数学に関するステレオタイプを取り上げ,ステレオタイプ抑制の際に視点取得を行うことで逆説的効果が低減されるかどうかを検討した。その結果,仮説は支持されてなかったが,探索的な検討の結果,女性参加者においてのみ,視点取得を行った場合は逆説的効果がみられない可能性が示唆された。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究では,これまで日本の大学生を対象として実験を行ってきた。しかし,ステレオタイプや偏見の内容や強度は個人の属性によっても異なる可能性が考えらえるため,一般化可能性を検討する必要がある。そこで,大学生とは異なる年代やその他の異なる属性の参加者を対象とするため,調査会社を利用することを予定している。調査会社のパネルから10代から70代までの男女の参加者を対象として,オンライン形態の実験を実施する予定である。年代や性別によって,ステレオタイプや偏見に対する態度がどのように異なるのかを検討する予定である。
|