研究課題/領域番号 |
20K14146
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分10010:社会心理学関連
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研究機関 | 北海学園大学 (2023) 東北福祉大学 (2021-2022) 大阪体育大学 (2020) |
研究代表者 |
中川 裕美 北海学園大学, 経営学部, 講師 (70848853)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 内集団ひいき / 外集団脅威 / 社会集団 / 集団同一視 / 間接互恵性 / 囚人のジレンマゲーム / 互恵性 / 協力のコスト / コスト |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では内集団の存在を脅かす外集団脅威が集団同一視の効果を高め、内集団ひいきを生起させる可能性を検討する。そのため、まずは様々な実在集団を対象に、価値観の対立といった象徴的な外集団脅威を経験しやすい集団ほど集団同一視が強くなるのかを確認する。その後、象徴的な外集団脅威を経験しやすい集団としにくい集団を対象に、現実的な外集団脅威と協力のコストの大小をそれぞれ操作した上で、内集団ひいきを測定する (場面想定法及び行動実験)。2種類の外集団脅威 (象徴的・現実的) と協力のコストがそれぞれ集団同一視と互恵性の期待の効果を高める働きがあるかを検証し、両者に相互的な影響力があるかを実証的に検討する。
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研究実績の概要 |
外集団脅威を経験しやすい脅威集団 (「国」「会社」「スポーツチームのファン」) と経験しにくい非脅威集団 (「年代」「趣味のサークル・団体」「芸能人・アイドル・音楽バンドなどのファン」) を対象に1回限りの囚人のジレンマゲーム (PD) を場面想定法にて行った。2023年5・6月にクラウドソーシング会社を通してWeb調査 (約1000名) を実施し、予備調査と同じく脅威集団の方が非脅威集団よりも外集団脅威の程度が高いことを確認できた。集団同一視、相互依存性の認知、外集団嫌悪の程度も概ね同様の値を示した。本研究の予測とは異なり、社会集団に伴う外集団脅威の程度の違いが、協力行動やその心理メカニズムの働きに大きく影響を与えることはなかった。全ての集団において、集団内の間接互恵性を期待できる相互条件と互恵性は期待できないが集団同一視は生じる一方条件で、内集団成員に対して外集団成員よりも多くのお金が提供されていた。お互いの集団所属性が分からない不明条件 (統制) では内・外集団成員に対する提供金額に有意な差は見られなかった。概ねの集団で相互・一方条件における協力行動と集団同一視には有意な相関関係が見られず、互恵性の期待に基づく協力行動が生じたことが明らかになった。最終年度には、上記の結果が実験デザイン上の制約によるものか否かを検討するWeb調査を再度実施する。その結果を踏まえたうえで、外集団脅威と協力にかかるコストの程度を操作した行動実験を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究代表者が異動して初年度であり、業務が多忙を極めたため、当初予定よりも遅れが生じた。さらに、本研究の予測とは異なる結果が得られたことから実験デザインの見直しと再調査を行うための時間を要する。
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今後の研究の推進方策 |
2024年8月までには、クラウドソーシング会社を利用して再度、場面想定法実験 (Web調査) を行う。外集団脅威の影響を確認するとともに実験デザインの妥当性について検討する。その結果を踏まえて、最終年度の行動実験を実施する。
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