研究課題/領域番号 |
20K14171
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分10020:教育心理学関連
|
研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
樫原 潤 東洋大学, 社会学部, 助教 (10788516)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | うつ病 / 社会的受容 / 教育 / 偏見 / サポート行動 |
研究開始時の研究の概要 |
うつ病罹患者の社会的受容を促進するために,心理学の知見を採り入れた教育コンテンツを作成し,その効果を検討するための教育実践研究を実施する。具体的には,2つの研究群に着手する。研究群Aでは,潜在的偏見の低減に有効な手法を採り入れた教育コンテンツを開発し,その効果を評価する。研究群Bでは,うつ病罹患者に対するサポート行動への動機づけを喚起する教育コンテンツを作成し,その効果を評価する。
|
研究成果の概要 |
うつ病罹患者の社会的受容を促す教育コンテンツを精緻化するため,複数の基礎研究に取り組んだ。具体的には,うつ病罹患者を援助する側の心理に着目し,援助行動にまつわる利益・コスト感としてどのような内容のものがあるかを明らかにし,それらの利益・コスト感がどのように相互作用し合っているかをネットワーク分析という手法で明らかにした。また,うつ病という病理の複雑性・個別性に迫るための心理ネットワークアプローチに着目し,その理論や方法論を文献レビューで整理した。その他,メルボルン大学との共同研究として,うつ病等の精神疾患に対する偏見をメディア報道によってどのように緩められるかを実験で検討した。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまでのうつ病教育は,「正しい知識とスキルを学べば,誰でも進んで身の周りのうつ病罹患者を援助できるようになるはずだ」という前提に立っていた。これに対し,本研究では,援助が大事だとわかっていても踏み切れない心の葛藤に着目し,その様相を明らかにした。また,うつ病の偏見を緩めようとする際に,メディア報道や教育の内容の選び方によっては十分な効果が得られないことを示した。さらに,そもそも「うつ病」という障害が複雑で多様なものであり,研究アプローチの切り替えが必要であることを示した。これらの知見は,従来のうつ病研究の前提を見直すものであり,社会に向けた教育のあり方を考え直すきっかけとなるものといえる。
|