研究課題
若手研究
児童期の不安の問題は、なるべく早い段階で治療を提供することが重要である。児童の不安症に対しては、認知行動療法が治療の第一選択として推奨されている。一方、負担の大きさや治療者の不足などから、およそ6割の児童がプログラムにアクセスできていない現状がある。こうした問題を鑑み、本研究では保護者がオンラインで認知行動療法を学び、児童に対して認知行動療法を実施するプログラムを開発し、有用性について検討する。
2022年度は、不安症の子どもに対する保護者による認知行動療法プログラム(Guided Parent Delivered Cognitive Behaviour Therapy: GPD-CBT)のフィージビリティ研究の結果の解析および考察を行い、論文の執筆を進めた。 GPD-CBTのフィージビリティ研究は12名の不安症の子どもを持つ保護者に実施し、10名の保護者がプログラムを完遂した。保護者はプログラムに対して高い満足度を示し、暫定的な介入効果ではあるが、子どもの不安症状やうつ症状について英国の原版GPD-CBTと同等の効果量を示すことが明らかとなった。しかし、2名のドロップアウトがあったことや保護者評定の子どもの不安得点の減少度が他の認知行動療法プログラムと比較し少なかったことから、今後日本文化を反映したプログラムの改良が必要であると考えられる。GPD-CBTでは保護者がプログラムに参加し認知行動療法の技法を学ぶため、子どもはプログラムに参加する必要がなく、他の治療プログラムと比較すると負担が少ない。このことから、GPD-CBTが日本で広まることで、より多くの不安症状で悩む子どもが適切な治療にアクセスすることが可能になると考えられる。この研究は、2023年2月に国際誌「Behavioural and Cognitive Psychotherapy」にアクセプトされ、インターネット上で先行公開されている。
3: やや遅れている
2022年度も引き続きコロナウィルスの影響で学会への参加が難しく、研究成果を公表することができる状況が限られたため。
2023年度は国際学会に参加し、研究結果を公表していく。2023年6月には韓国で世界認知行動療法会議、2023年7月にはウェールズで英国認知行動療法会議が開かれるため、シンポジウムやポスター発表を企画し、研究結果を広めていく。
すべて 2023 2022 2021 2020 その他
すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 6件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 7件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件) 図書 (1件)
Behavioural and Cognitive Psychotherapy
巻: - 号: 3 ページ: 1-6
10.1017/s1352465822000704
Journal of Medical Internet Research
巻: 24(2) 号: 2 ページ: e28747-e28747
10.2196/28747
Current Psychology
巻: - 号: 14 ページ: 1-10
10.1007/s12144-021-02437-5
Japanese Psychological Research
巻: - 号: 2 ページ: 173-181
10.1111/jpr.12366
武蔵野大学認知行動療法研究誌
巻: 2 号: 9 ページ: 36-46
10.1002/jclp.23133
40022792625
Journal of Behavioral and Cognitive Therapy
巻: - 号: 3 ページ: 205-213
10.1016/j.jbct.2021.01.003
Neuropsychiatric Disease and Treatment
巻: Volume 16 ページ: 2849-2855
10.2147/ndt.s283950
BMC Psychiatry
巻: 20 号: 1 ページ: 433-433
10.1186/s12888-020-02841-4