研究課題/領域番号 |
20K14195
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
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研究機関 | 早稲田大学 (2021-2023) 帝京平成大学 (2020) |
研究代表者 |
井合 真海子 早稲田大学, 人間科学学術院, 准教授 (40613865)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 弁証法的行動療法 / 支援者教育 / DBT / 境界性パーソナリティ障害 / BPD / 認知行動療法 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、弁証法的行動療法(DBT)の支援者教育プログラムを開発し、その有用性を検討することを目的とする。DBTは、境界性パーソナリティ障害(BPD)など感情調節不全を抱える者に対して治療効果が実証されている治療法であり、欧米ではBPDに対する有効な治療法として普及しているが、日本では本格的な普及には至っていない。そこで本研究では、DBTの日本での普及を目指して、DBTの支援者教育プログラムを作成し、その効果を検討する。
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研究実績の概要 |
本研究は,境界性パーソナリティ障害(borderline personality disorder: BPD)をはじめ感情調節不全に起因する様々な精神疾患に治療効果が実証されている,弁証法的行動療法(Dialectical Behavior Therapy: DBT)の日本における普及を目指した支援者教育プログラムの開発を目的とするものである。DBTはBPDなどの自傷行為・自殺企図などを繰り返す患者に対して開発された心理療法であり,欧米では広く普及している。しかしながら,日本における実践例は少なく,効果研究はほとんど見受けられない(井合・遊佐,2019)。その原因の一つとして,DBTの治療原理と技法を理解し実践できる専門家がごく限られているという現状が挙げられる。そこで本研究では,DBTの日本での普及に向けて支援者を対象とした教育プログラムを作成・実施し,受講生のDBTに対する理解度・技術の習得度をアンケート調査で測定する。 令和2年度は,DBTの効果的な支援者教育プログラム開発に向けて,現在研究実施者らが試験的に実施しているDBTに基づいたスキルトレーニングに関する教育プログラムの受講生に対して,DBTの理解度や習得度,現場での有用度,プログラムの改善点などについて申請者が独自に項目を作成してアンケート調査を実施した。帝京平成大学倫理委員会の承認を得て,令和3年3月~5月にweb上のアンケート調査を実施した。その結果,研修の理解度や満足度,役立ち度は概ね高いこと等が示された。また,今後は施設単位への研修活動や,実際に実施するに当たってのコンサルテーションなども有効である可能性が考えられた。アンケート調査の結果は,令和3年10月に開催される日本認知・行動療法学会第47回大会にて発表した。令和4・5年は研究実施者の出産・育児で研究計画が遅延している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
令和3年度は,当初の研究計画書の研究1にあたるアンケート調査を終了した。実施にあたっては,帝京平成大学倫理委員会より承認を得ている。 具体的には,研究実施者らがすでに試験的に実施しているDBTに基づいたスキルトレーニングに関する教育プログラムの受講生に対して,DBTの理解度や習得度,現場での有用度,プログラムの改善点などについて申請者が独自に項目を作成してwebアンケート調査を実施している。当初研究計画で予定していた郵送形式のアンケート調査から,新型コロナウィルス感染症対策を考慮し,webアンケート形式に変更した。webアンケート実施にあたっては,これまで研修を受講した受講生が登録しているメーリングリストを使用した。メーリングリスト使用にあたっては,メーリングリストを管理している長谷川メンタルヘルス研究所に承諾を得た。最終的に16名から回答が得られ,支援者研修の有効性や課題が示された。 令和3年度は研究2にあたる改良版支援者教育プログラムの実施に備えた準備をする予定であったが,新型コロナウィルスの影響により,当初の研究実施計画にあった海外講師の招聘が難しいこと,全国各地での研修会の実施が難しいことにより,研究計画が遅れが生じた。加えて,研究代表者の出産・育児により,令和4年度より研究が中断及び研究計画の遅延が生じている。現在,海外講師に対してオンライン上でのコンサルテーションを依頼する手続きをしている。今後も,新型コロナウィルスの影響及び研究代表者の出産・育児により研究計画の変更および遅延が生じる可能性がある。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度は,研究代表者の出産・育児休暇により研究を一時中断していた。令和5年度は研究再開予定であったが,育児のため当初の予定のエフォートがかけられず,DBTの研修プログラムの継続的な参加,海外講師へのアポイントに留まっている。令和6年は本格的に研究を再開し,当初の予定であった研究2を実施する予定である。研究2では,研究1のアンケート結果およびBehavioral Techで行われているDBTの教育プログラム,及び海外講師のコンサルテーションを参考にして改良版支援者教育プログラムを作成し実施予定である。研究倫理については,早稲田大学「人を対象とする研究に関する倫理委員会」に申請予定である。 教育プログラムの作成にあたっては,DBTの様々な教育研修活動を行なっているBehavior Tech(アメリカ合衆国)のコンサルテーション部門の専門家に依頼し,教育プログラムの評価・助言を求める。当初は専門家を日本に招聘する予定であったが,新型コロナウィルス感染症の影響に伴い,オンラインでのコンサルテーションを依頼している。現在契約書の調整や料金についての問い合わせを行っている段階である。コンサルテーションは令和6年7月から9月の間に実施する予定である。改良版の支援者教育プログラムの実施にあたっては当初は全国5カ所で研修を実施する予定であったが,昨今の状況を鑑みてオンライン実施を検討している。実施時期は,令和6年10月以降を予定している。当初の予定の研究3(研究2の教育プログラムの受講生の中から実際に教育プログラムの内容を臨床現場で用いている者を対象として,どの程度DBTに沿った介入を行っているかや,介入の効果に関するアンケート調査を行う)については,研究2の教育プログラムが終了次第実施する予定である。
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