研究課題/領域番号 |
20K14197
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
石川 遥至 早稲田大学, 文学学術院, 講師(任期付) (60822955)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 気晴らし / 反すう / 抑うつ / 注意制御 / 気分 / 注意視野 / 注意の分割 / 心理学的介入 / 注意 |
研究開始時の研究の概要 |
気晴らしとは一般に不快な思考や対象から注意を逸らすことを指す。この活動は不快な思考に注意を集中する「反すう」を緩和して気分の改善を促す一方,問題から目を背ける回避として不適応的な結果につながる場合もあることが示されてきた。そこで本研究は,不快な対象と気晴らし活動の双方に同時に注意を向ける(分割)ことによる効果を検証する。まず,気晴らしに際して注意の分割を促すことが,反すうのメカニズムとされる注意視野の狭まりを解消するのかを知覚・思考のレベルで測定する。さらに,これらが実際に反すう思考の内容をどのように変化させるかを明らかにすることを目的とする。
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研究成果の概要 |
気晴らしは,反すう(ネガティブな反復的思考)をさえぎることで一時的に気分を改善する。しかし,同時に問題への直面化を避けることで長期的には抑うつを高めてしまうことが指摘されている。本研究は,意図的に不快な問題に意識を向けながら気晴らしに取り組む「注意分割気晴らし」の効果と,その作用プロセスを検討した。結果から,注意分割気晴らしは通常の気晴らしと比べて短期的な気分の改善効果は低いものの,不快な問題についての反すうが再度起こった際のネガティブな気分の高まりを和らげ,問題への対処方法の発想を促すことが示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の成果は,これまで不快な思考を遠ざけることでネガティブな気分を一時的に改善するものとして捉えられてきた気晴らしを,積極的に不快な対象と向き合い,受け入れることで,長期的にネガティブな気分や反すうを緩和する方略として使用できる可能性を示すものである。学術的観点からは,本知見は気晴らしの作用機序や反すうのメカニズムに関する研究の発展に寄与しうると考えられる。また社会的意義としては,日常生活の中で容易に実施可能な新たな反すうへの対処方法を提唱し,その有効性を確認したことで,抑うつをはじめとした精神的健康に関する問題の改善に貢献しうることが挙げられる。
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